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/Dev チームファイト タクティクス:リミックス ランブルから学んだ教訓

「リミックス ランブル」から学んだ教訓と、新セット以降での教訓の活かし方についてお話しします!

Dev作者Riot_Mort
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「リミックス ランブル」も残り1ヶ月ということで、本記事では今回のセットで改善を約束していた点と新セットで改善を目指す点を見ていきます。おっとその前に…3月最初の週末にはRemix Rumble Championshipが開催予定ですが、実はこのイベントの最終日の最後に、新セットの内容を発表する新しいDev Drop動画が公開されますのでお楽しみに。さて、それでは教訓記事に戻って…今回も例によってかなりの長編になりますから、お気に入りのリミックス ランブルミックステープでも再生しながら読み進めてください!

それでは、まず要約版から:

振り返り:前回の教訓記事で設定した目標の直接的な達成度の振り返りです。


  • レジェンド:当面のあいだレジェンドの復活予定はありませんが、チームでは今も興味深いゲームデザイン領域だと認識しています。今後「試合前に選択するゲーム要素」を復活させるとしたら、以前のような悪影響(試合展開の幅を大きく制限する)を生じさせないシステムが立案できた時になるでしょう。
  • 地域ポータル:ポータルは実にTFTらしいゲーム要素です。その馴染み具合はオーグメントとほぼ同等といえるでしょう。今後も常設ゲーム要素として残り続けます。
  • 強さのインフレ:開発チームは「ルーンテラ リフォージ」の後、全体的なパワーレベル(特に★★★4、5コスト)を若干引き下げるべく一部システムを調整し、レベル10の導入とバッグサイズの変更を実施しました。この2点については(ひとまず)継続します。
  • スキンと分かりやすさ:基本スキンはチャンピオンが極めて判別しやすく、ルーンテラは故郷ともいえる魅力的な世界です。まだ現時点では何も発表できませんが、それでもひとつだけお伝えしておくと、今後2年以内に最低でも1回はルーンテラテーマのセットが登場する予定です!
  • 刺激的で個性的な低コストユニット: 私たちは今後も個性的で楽しく、独自のファンタジー(チャンピオンが想起させるテーマやイメージ)を持つ低コストチャンピオンを引き続き制作していきます。リロール愛好家とフレックスプレイヤーの皆さんはぜひお楽しみに。
  • セットの複雑さとゲームバランス:セットの複雑さが高くなると、ゲームバランス調整の難易度も跳ね上がります。これは「可動部品」の数が増え、組み合わせ総数が増えれば、バランス調整で考慮すべき要素も増えるからです。「リミックス ランブル」はセット自体の複雑さが過去最高級だったにもかかわらず、Bパッチが一度だけ(ライアット全体の年末休暇中)でしたから、バランス調整は総合的にうまくやれたのではないかと考えています。今後もこの調子で進められるようにがんばります。

今後の取り組み:次のセットで改善を目指す目標項目です。

  • 試合展開幅と戦利品の出現仕様:今後はアイテムと戦利品の出現仕様を「プレイヤーごとに変わるもの」ではなく「試合ごとに変わるもの」として扱っていきます。編集者メモ:システム変更点について知りたい方は該当する項をご覧ください!
  • セット固有要素と総合的な複雑さ:過去10セットを精査してみると、大成功と呼べるセット固有要素はいずれも、試合展開の幅を広げ、複雑さを高めて新鮮なゲームプレイを提供する要素でした。しかし、ポータルとオーグメントが常設ゲーム要素になった今後は、セット固有要素を通じてセットテーマ表現を追求したり、独自性を高めたりする実験的な活用法も可能になってくると考えています。
  • チャンピオンスキルの直観的な分かりやすさ:今後はチャンピオンのスキル制作時に一層の注意を払い、「おおよそのスキル効果は見るだけで分かり、ツールチップを読めばより詳細な情報が確認できる」状態を目指していきます。
  • エコノミー特性:今後の主要課題のひとつは、「プレイヤーは1セットのあいだにエコノミー特性のプレイ方法を解いてしまう」ことを前提に特性を再発明し続けていくことになるでしょう。年に3回は再発明する必要があるため簡単な仕事ではありませんが、全力で取り組んでいきます!
  • 「めったにない幸運」と特性のプリズムティア:特性のプリズムティアや「めったにない幸運」の価値を再考し、実現難易度に見合う満足感を両立させていきます。
  • アイテムの独自性とアーティファクト:アーティファクトというアイテムカテゴリーには、通常アイテムには持たせられない魅力的な効果を付与できます。というわけで、「次のセット期間中に」20種を超える新アーティファクトを追加します。

振り返り

まずは前回の教訓記事を振り返り、前回挙げたポイントの達成度を評価していきます。

レジェンド

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レジェンドについては前回の「ルーンテラ リフォージ」教訓記事で、次のセットに登場させることはないけれど、コンセプトとしては将来的に再び挑戦するかもしれないと書きました。その「将来」とは、まだまだ先の話になりそうです。今後「試合前に選択するゲーム要素」を復活させるとしたら、以前のような悪影響(試合展開の幅を大きく制限する)を生じさせないシステムが立案できた時になるでしょう。というわけで、レジェンドやそれに近いコンセプトの機能が今年中に復活することはありません。また、この認識が変わった時には皆さんにお知らせします。

ポータル

ポータルは従来の開幕ドラフトラウンドを置き換える形で導入され、試合開始直後のゲーム進行をより健全なものにしてくれました。目当ての素材アイテムを狙って反射速度・クリック精度を競っていた頃と比べると、不要なランダム性を低減できたと言えるでしょう。また多様なポータルの存在は試合展開の幅を広げ、「ローグライク」ゲームの開始時にも似たワクワク感を生み出していました。「スカトルパドル」や「プリズム シンフォニー」が選ばれた瞬間、その試合の楽しさは確約されたようなものですから。

「リミックス ランブル」のリリース時には、まず影響度低~中レベルのポータルだけを出現させ、プレイヤーが新セットの複雑さに習熟できるようにしていましたが、少し時間が経つとプレイヤーからはもっと影響度の高いポータルの導入を望む声が上がりました。より影響度の高いポータルの導入を遅らせた判断は、究極的には正しくなかったと言うべきでしょう。そこで次のセットに進む前に、ここで大きな発表をひとつ。ポータルはもはやオーグメントと並ぶゲーム要素になっているため、今後はTFTの常設ゲーム要素とします。

強さのインフレ

さあ、難しい課題がきました。私たちが本セットの開発時に明確な目標としていたのは「★★★4、5コストの完成頻度を下げる」というものでした。これは「ルーンテラ リフォージ」での完成頻度が高すぎたためです。この点についてはレベル10を新設し、レベル7/8/9でのチャンピオン出現率を変更することで対処しました。しかしこの領域に対するナーフ(弱体化)は、そこに達成感・満足感を見出していたプレイヤーに対し、今後はなかなか完成させられなくなると告げるのと同義であるため、心苦しくもあります。もちろん私たちも、これが何らかの「痛みを伴う」変更になることは予測していました。「リミックス ランブル」で★★★4、5コストを完成させられなかった方は、(たとえ正確にはそうでなかったとしても)あの変更がなければ完成していたのにと感じてしまうでしょうから。これについては後でもう少し詳しくお話しますが、ひとまず次のセットではこの部分に対する変更は最小限になるでしょう。ヘッドライナーが無くなるためレベルごとのチャンピオン出現率には調整を加えますが、レベル10は続行、バッグサイズも変更なしの予定です。ちなみに念のためお伝えしておくと、「次はセット11だからレベル11を新設するよ」なんてことはないのでご安心ください。

スキンと分かりやすさ

前セットでは各チャンピオンが基本スキンで登場したため、ユニットの判別が容易だったという発見がありました。これを受けて、前回の教訓記事では、TFTは将来的にルーンテラテーマのセットを増やしていくと述べました。まだ現時点では何も発表できませんが、それでもひとつだけお伝えしておくと、今後2年以内に最低でも1回はルーンテラテーマのセットが登場する予定です!もう少し増えるかもしれませんが、それについてはまた続報をお待ちください。

刺激的で個性的な低コストユニット

今セットでもこうした低コストユニットに挑戦し、アニー、ヤスオ、ヘッドライナーバードなどを登場させました。しかし、この点において「リミックス ランブル」が大成功だったとは考えていません。主要因はヘッドライナーというゲーム要素の存在で、これが1コストリロール構成のバランス調整を難しくしており、実用性を高めようとすると強くなりすぎる状況を作り出していました。またコーキやナミといったチャンピオンたちが主役として輝く機会は、そのスキルの性質上一度もありませんでした。このように反省点もありましたが、私たちは今後も個性的で楽しく、独自のファンタジー(チャンピオンが想起させるテーマやイメージ)を持つ低コストチャンピオンを引き続き制作していきます。リロール愛好家とフレックスプレイヤーの皆さんはぜひお楽しみに。

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セットの複雑さとゲームバランス

さて、バランス調整について。本セットでは良いゲームバランスでリリースすることを特に重視しました。その背景には、記念すべき10セット目のリリースを盛り上げたいという気持ち、そしてVegas Openの観戦者・参加者に最高の体験を届けたいという願いがありました。もちろん、完璧なゲームバランスはまず実現しません。しかし「リミックス ランブル」で、ゲームバランス面は大幅に改善したと言っても問題ないでしょう。

唯一のBパッチはライアット全体の年末休暇に合わせて計画されていたもので、それ以外には看過できないほどの状況は生じませんでした。繰り返しになりますが「(True Damageの紋章、ディスコ、Heartsteelなどもあり)完璧ではなかったが、大きな改善は見られた」と言えるでしょう。この点はこのまま持続できるよう努力します。今後も開発チームが経験を積み重ねていき、さらに進歩できればベストですね。

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今後の取り組み

さて、教訓記事も今回でついに10本目。TFT自体も5周年が近づいてきました。これはつまり、今後出てくる課題は以前のようにはサクサク解決できないことを意味します。TFTはゲームとして成熟してきており、私たちもこの数年間で実に色々なことを学んできました。要するに、それでもなお表出してくる今後の教訓は、翌セットで即座に解決策を出せるような問題ではない可能性が高いのです。たとえば、私たちが長年培ってきたセット開発手法の根幹を変えなければ解決できない課題が見つかった場合、そこを変えれば解決できるという仮説を真に実証するには長い時間がかかります。そうしたケースでは、次のセットで即解決とはいきません(だからこそ今後も、課題があればこうした記事で共有・議論していきます)。こうした経緯から、今後の約束はより哲学的な文言になったり、「いつか」のように漠然とした表現になったりする場合も出てくるでしょう。年間3セット制移行の副作用、あるいはTFTがゲームとして成年期に入った証…どちらの側面もあるでしょうが、TFTはこれまでの年月でゲームとしてのアイデンティティーを確立できました。これからは新しい要素に触れ、それを取り込み続けていく段階になると考えています。

試合の展開幅と戦利品の出現仕様

オーグメント、ポータル…試合展開の幅を広げるシステムが増えてきた結果、「すべてのシステム」が試合展開の幅を広げる必要性は下がってきていますが、アイテムと戦利品の出現パターンは、そんな状況下でもこの役割を担っていました。あなたが素材アイテム3個と6ゴールドでスタートしたのに、対戦相手は素材アイテム1個と18ゴールドでスタートした。別の試合ではあなたが特性の書を入手したが、対戦相手たちは素材アイテム1個でスタートした…。こうしたプレイヤー間での差は著しくバランスを欠いた状況を生み出し、その差を最大限活用することが1位獲得の主要因となりうるほどの影響を与えていました。

そこで今後は、アイテムと戦利品の出現仕様を「プレイヤーごとに変わるもの」ではなく「試合ごとに変わるもの」として扱っていきます。少し具体例を交えて説明しましょう。新しい出現仕様でも最初のPvEラウンドで獲得する内容は毎回変化します。ある試合では素材アイテム3個と6ゴールド、次の試合では素材アイテム1個と18ゴールドといった具合です。では何が違うのか?答えは「試合の参加プレイヤーに同じ戦利品オーブが出現する」点です。金オーブが出た場合は、他の全プレイヤーも金オーブを入手しているわけです。もちろん、オーブの内容物はプレイヤーごとに異なりますが、獲得リソース量は概ね同等になります。試合ごとに展開が変わるという部分はそのままに、公平性が高まるわけです。

そして最後に…サプライズ!新たに「プリズムオーブ」が追加されます!このオーブからは特性の書(金オーブからは出現しなくなります)やマスターワーク アップグレード(完成アイテムをレディアントアイテムに変化させる消費アイテム)など、試合の流れを大きく変えうる豪華報酬が出現します。今から心の準備をしておいてください。

セット固有要素と総合的な複雑さ

過去10セットを精査してみると、大成功と呼べるセット固有要素はいずれも、試合展開の幅を広げ、複雑さを高めて新鮮なゲームプレイを提供する要素でした。まず「ギズモ&ガジェット」で導入されたオーグメントは、試合展開の幅とリプレイ性を高めるセット固有要素として最大の成功を収めました。また「ギャラクシー」(ギャラクシー)や「ルーンテラ リフォージ」(地域ポータル)もそれに迫る成功を示しています。

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特にオーグメントとポータルは、ゲームデザイナーとプレイヤーの双方に創意工夫の余地を作り出してくれました。この2要素はそれゆえに常設ゲーム要素となり、今もセットを超えて拡大・進化を続けています。一方、オーグメントとポータルが常設ゲーム要素となったことで、今後のセット固有要素は「試合展開の幅」や複雑さにこれまでほど寄与しなくても良くなってきました。このため、今後はセット固有要素を通じてセットテーマ表現を追求したり、新規性を重視した新システム/ゲーム要素を試したりする余地が出てくると考えています。もしかしたら、こうした取り組みが新たな常設ゲーム要素の誕生につながるかもしれません。それこそ、ポータルを発見した時にように。

というわけで、今後のセット固有要素ではテーマ表現と新規性の追求を主目的としていきます。次のセット固有要素にはまだ少し試合展開の幅を広げる要素が含まれていますが、これも「リミックス ランブル」のヘッドライナーのようにゲームの複雑さを跳ね上げるようなことはありません。もっと詳細をお伝えできれば良いのですが…ネタバレ厳禁ということで、詳細は新セット発表までお待ちください。

チャンピオンスキルの直観的な分かりやすさ

チャンピオンデザインでセットを追うごとに重視するようになってきたポイントに「チャンピオンの直観的な分かりやすさ」があります。チャンピオンの挙動を見るだけで、ツールチップを読むこともなく把握できるのが理想でしょう(LP稼ぎに集中しすぎて何も読んでくれないとある配信者を思い浮かべながらこれを書いています)。現時点でもこれを実現できたチャンピオンは数体存在しますが、逆に理想とは程遠いチャンピオンも存在します。

たとえば「リミックス ランブル」なら、ナミ、ジンクス、カイ=サ、ラックス、ケイトリン、アーリは上手くいった例です。これらのチャンピオンは動きを見ていれば仕組みがだいたい理解できます。中でもジンクスは好例で、ミニガンとロケットランチャーの完全な詳細が分からなくとも、マナが貯まるたびにジンクスが武器を持ち替えること、持ち替えると通常攻撃の雰囲気が変わることは把握できます。こうしたチャンピオンが多いほど、プレイヤーにとっては「取っつきやすいセット」になるわけです。

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他方、うまくいかなかったチャンピオンのひとりがニーコでした。自身にシールドを張る効果と周囲にダメージを与える攻撃はよいとして、問題は味方ユニットに変身する部分です。変身した味方ユニットらしいことは何もせず、ジャンプして着地して少しダメージを与える。スキルの具体的な効果がビジュアルから読み取れないため、プレイヤーは「コピー元チャンピオンは自分で選ぶのか?」、「選ぶチャンピオンによって差が生じるのか?」と考えてしまいます。こうしたチャンピオンはプレイ時に様々な混乱を生み出します。ニーコのケースでは、変身がこの上なく彼女らしい能力であるのがまた難しいところでした。

こうした経緯を踏まえ、今後はチャンピオンのスキル制作時に一層の注意を払い、「おおよそのスキル効果は見るだけで分かり、ツールチップを読めばより詳細な情報が確認できる」状態を目指していきます。

エコノミー特性

フォーチュン、マーセナリー、アンダーグラウンド、ピルトーヴァー、そしてHeartsteel。エコノミー特性は今やTFTに無くてはならない存在です。たとえゲームバランス調整が凄まじく難しくても、セットのオリジン特性の中でいつも圧倒的一番人気を集めるエコノミー特性には挑むだけの価値があります。リスクを冒して豪華報酬を狙うプレイは多くの愛好者がおり、とんでもない豪華報酬には周囲に見せびらかしたくなる魅力があります。だからこそエコノミー特性は、当面は登場し続けるでしょう。

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ただし一方で、エコノミー特性は現在大きな課題を生み出してもいます。Heartsteelは当初、クールで新しいエコノミー特性となるべく制作されましたが、超豪華報酬は難易度が高すぎてほぼ獲得不可能でした。ステージ6でHeartsteel(7)/(10)を発動させて2000ハートを稼げる機会などそうそうありません。そこで私たちは「リスキーにいこうぜ」モードを追加して超豪華報酬を狙えるようにしたのですが…結果として過去の同種特性でやってきた「連敗を重ねて超豪華報酬を狙う」という基本型をなぞる効果になってしまいました。

今後の主要課題のひとつは、「プレイヤーは1セットのあいだにエコノミー特性のプレイ方法を解いてしまう」ことを前提に特性を再発明し続けていくことになるでしょう。当初のフォーチュンは好評でしたし、マーセナリーもまず順調でした。しかし三度目のピルトーヴァーでは、プレイヤーが特性の使い方を「解き終えて」おり、連敗の実質的なリスクはほぼなくなっていました。多くのプレイヤーが苦もなく余裕で10連敗を決めてしまっていたのです。こうした状況の中でエコノミー特性を年に3回再発明するのは簡単ではありませんが、全力で取り組んでいきます!厳しい道のりの先にはそれに見合う報酬があることを、私たちはエコノミー特性で学んでいますから!

「めったにない幸運」と特性のプリズムティア

「ルーンテラ リフォージ」では、特定のレジェンドを選んだときに特性カウントを増やしやすかったため、デマーシア(9)のような最上位ティアを発動できる確率が上がりすぎていました。

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そこで「リミックス ランブル」では特性カウントの上昇機会を意図的に絞り、特性の最上位ティアを発動させる難易度を高め、その上で発動難易度に見合った強さを出せるようにしました。このためK/DA(10)、Pentakill(10)、Heartsteel(10)などは発動難易度が非常に高い一方で、いざ発動できた時には凄まじい興奮を生み出せていました。この方向性は非常にうまく機能しており、特性の最上位ティアが持つワクワク感と実際のパワーレベルを釣り合わせることもできたと考えています。

新セットではヘッドライナー要素が無くなり、特性系オーグメントが復活し、戦利品の出現仕様が改善されるため、「最上位ティアが簡単に発動できる状態」に戻ることがないように注意していきます。新セットでは一定の制限や範囲を設けていく予定です。たとえばオーグメントシステムの大型変更点の中には、オーグメントを通じて特性+1できる機会が一度に制限される、というものがあります。複数の実現手段があっても(ゴールド オーグメントの特性+1、「古の記録」の特性の書など)、2回目以降はシステム的にブロックされます。これであれば、「稀代の豪運の持ち主だけは凄まじい強さを手に入れられる」といった状況をシステム的に予防することができるでしょう。

なおダブルアップモードでは、特性のプリズムティアの発動難易度が下がりすぎていたため、ダブルアップにも変更を加え、通常モードと足並みを揃えていきます。さて、それでは最後の項にいきましょう。

アイテムの独自性とアーティファクト

アイテムについては、直近2セットでかなり大掛かりな変更を実施してきましたが、結果的に「理想アイテムとそれ以外の格差低減」という目標はある程度達成できました。しかしこれには用途の限られたアイテムを変更し、汎用的な性能を付与する必要がありました。たとえば、ラピッド ファイアキャノンは一部の近接キャリーを大幅に強化するニッチなアイテムで、特定チャンピオンにとっての必須アイテムとなっていましたが、変更後のレッドバフは攻撃速度の大幅上昇、追加ダメージ効果、そして燃焼というユーティリティー効果を持つアイテムになっています。ラピッド ファイアキャノンはやや極端なケースですが、その他のアイテム(ブラッドサースター、ブルーバフ、ジャイアントスレイヤー、あるいはショウジンの矛)にも各種ステータスや効果が付与され、汎用アイテムとしての側面が強くなっています。

こうした変更のおかげで多くのアイテムが健全・柔軟な状態に達したものの、その性能はステータス重視になっており、創造性は減退していました。確かにラピッド ファイアキャノンのバランス調整は悪夢のようでしたが、あれは一点特化型の創造性に満ちたおもしろいアイテムでもありました。創造的で新たな構成を具現化するこうした「火花」の存在はTFTにとって重要なものですが、通常アイテムとして取り入れるには変異性が大きすぎます…。というわけで、重大告知です。次のセット期間中にはこうした「火花」たちをアーティファクトとして復活させます。

具体的には、次のセット期間中に20種を超える新アーティファクトを追加します。新たなアーティファクトは、きっと斬新なチーム構成やワクワクする瞬間を生み出す主要因となってくれるでしょう。ここでは新アーティファクトのひとつ、怪しいトレンチコート(仮称、数値は変更の可能性あり)をご紹介しましょう。このアーティファクトは物理防御と魔法防御を付与し、さらに「装備者はラウンドで一度だけ、体力が半分になったときに自分自身の分身3体に分裂する。各分身は最大体力の25%を持つ」というユニークな自動効果を持ちます。サステイン能力の高い/タンク性能の高い前衛をこのトレンチコートで包んで、相手を思いきり怪しませてやってください。

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はい、今回はここまでです!こうして10回目の教訓記事を執筆できて本当に嬉しく思います。この記事の存在は、私たちにはまだまだ学ぶことがあり、成長の余地があり、未来があるということを示していますから。開発チームを代表して、ここに改めて感謝の言葉を。最近始めたばかりの方も、ベータテスト時代からの方も、いつもTFTをプレイしてくれてありがとうございます。それではまた次回、今度は新セットの発表でお会いしましょう!



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