チャンピオン開発エピソード: タリック、ヴァロランの守護者

Cactopusによる

ビジュアルを修正、そして改良されていくチャンピオンたちとタリックを並べてみると、体からクリスタルを生やしたデカ足のデマーシア人のイケてなさは目を覆わんばかりでした。時代遅れなビジュアルとスキル構成を併せ持つ彼は、当然、リメイクの最優先候補となりました。ただし我々は彼を全くの別人に変えるつもりはありませんでした。代わりにこの宝石騎士を壮大なる冒険に送り出し、「ヴァロランの守護者」として生まれ変わらせたのです。


山頂にて美を極める


当初タリックを制作した際に彼に与えられた物語は、宝石への執着を持つ宇宙人、というなんともはっきりしないものでした。結果ほとんどのプレイヤーが抱いた彼の印象といえば、「いつも宝石やらジェムやらのことばかり嘆いている単なる変人」といった感じでした。タリックを目的のあるしっかりしたキャラクターにするとともに、彼の地質学へのこだわりに対する納得のいく説明を与えるための物語を書く、それが今回の我々の挑戦でした。

まず最初に、タリックのテーマに相応しい、彼の居場所を探すところから始めました。彼はデマーシア人ですが、彼のゲームプレイやゴツゴツした衣装はデマーシアのテーマとはしっくりとフィットしません。彼の物語からその要素を捨て去って、すっきり一から作り直そうとしたものの、それより良いアイデアが浮かびました――彼の物語に続きを作ってみては?――そうして我々は宝石騎士の物語の「第二章」を書き始めたのです。こうしてタリックは、伝説の霊峰ターゴンを登るという危険な旅に出ました。

キャラクターをリメイクするにあたり、時にはサイオンのように一から作り直さなければならない場合もありますが、ゼロからの作り直しは可能な限り避けるようにしています。「私の個人的な使命は、害を与えず、改善することです」シニアストーリーライターのGeorge "Glorft" Krsticはそう言います。「プレイヤーが気に入っている要素をぶち壊して、チャンピオンを台無しにするようなことはしない。ウルヴァリンから突然ツメを無くすようなことはしてはいけないんです」

頂上に到達したタリックは、「守護者」の名で知られる天界の存在と戦い勝利しました。この伝説の存在はタリックの信念に感服し、堕ちたデマーシア人に新たなる守護の力を授けました。こうして宝石騎士は「ヴァロランの守護者」となったのです。

タリックは生まれ変わり威厳を増しましたが、皆さんが愛する超ハンサムなデマーシア人であることに変わりはありません。しかし新たなストーリーでは、彼が栄光の座から失墜し、そして霊峰ターゴンの頂上で返り咲いた様が語られます。タリックの旅は、美のために闘い、繊細なものを守護する戦士へと彼を再定義しました。彼はたった一輪の野花を守るために、2つの軍隊を同時に相手にできる男なのです。


山頂への旅はタリックに新たな目的を与えましたが、サモナーズリフトに足を踏み入れるにはまだ足りないものがありました。そう、新たなる衣装です。


その輝き、ダイヤモンドのごとし


全身の75%からクリスタルが飛び出しているというタリックの旧モデルは、明らかにこのチャンピオンの一番ダメダメな要素でした。はっきり言って、ひと昔前のゲームのモデルみたいに時代遅れでした。

ですが、彼の体を覆うクリスタル、そしてロマンス小説の表紙のイケメンみたいに素敵にたなびく髪は、その設定自体がダメなんてことはないはずです。我々はこれらの特徴を残したまま、最先端ゲームに相応しい水準へと磨き上げることを試みました。タリックが霊峰ターゴンに近づいた時、我々は彼が纏うクリスタルの本質について改めて問い直しました。それは地中に埋まっていて掘り出すことができる、普通の貴石なのでしょうか?それとも、もっと興味深い何かなのでしょうか?我々はそのクリスタルこそ、タリックが霊峰ターゴンへの旅路で手に入れた力の象徴である、という着想を得ました。

クリスタルはただの石ではなく、星の光からできているのです。ええ、お手元にある物理学の教科書は窓から投げ捨てていただいて結構ですから、素直に我々の言うことを信じてください。星の光を減速して収束させると凝固して、奇妙な運動エネルギーを備えた固体になるのです。このクリスタル(もちろん、ジェム、あるいは宝石と呼んでも構いませんよ?)こそが、タリックの新たな力の源泉なのです。

タリックの独特の雰囲気はそのまま保つため、彼のビジュアルデザインで過剰な部分を改良しました。「ヴァロランの守護者」がサモナーズリフトを闊歩する時、まるでいつも扇風機の前に立っているように、彼の艶やかなたてがみは背後にたなびくのです。そう、前よりも長く、ウェーブがかった、人目を惹く髪が。彼はシャンプーのコマーシャルのスターにぴったりです。そしてあなたはシャンプーを買ってしまうことでしょう。

タリックの素敵な部分を強調することは、すなわち彼の男の色気とハンサムな美しさを大切にし、外観的にも強化することです。新しいタリックの基本モデルにはがっしりしたあごと、胸ぐりもセクシーなVネックのジャケットを与えました。Vネックの切れ込みはプレイテスト初期には大胸筋の下までだったのですが、内部テスト中に少なくない数のライアターから「もっと深く!」という意見が相次いだため、さらに深くなりました。そう、みんなタリックにゾッコンだったのです。その声に応えました。



機能的、かつスタイリッシュ


以前のタリックのスキルは目に見えてヒドイものではありませんでしたが、一つ大きな問題を抱えていました。彼のやることなすこと、見た目にも感覚的にも、全くインパクトがなかったのです。確かに、タリックのプレイヤーがボタンを押せば何かが起こりました。しかし何が起こったのか、戦っているみんなに伝わることがあまりなかったのです。旧タリックでプレイしていても、光り輝くQを当てるラックスの喜びや、大地を打ち砕くマルファイトのアルティメットスキルの迫力を感じられる機会はほとんどありませんでした。凄まじいダメージ量を相殺しながら、静かにいつまでも戦い続けることだけが喜びだったのです。彼のスキルは機能的でしたが、そこにスタイリッシュさを加える必要がありました。

これはビジュアル的なわかりやすさの問題であると同時に、タリックのスキルが広く分散した目立たないものであることも原因でした。タリックがチームメイトに自身の物理防御の12%を与えることはチームファイトに大きな影響を与えます。ですがチームメイトはそのインパクトに気づくことが少なく、その効果を念頭に置いた戦法を取ることができていませんでした。インパクトを感じさせるものにするため、スキルをより特定の方向へ集中したものに変更しました。一部のややこしいステータス上昇スキルを削除し、新たなアルティメットスキル「コズミックレディアンス(味方を一時的に無敵にする)」のように派手で目立つ技へと替えたのです。このスキルを受けた瞬間、あなたはスターになったような気分を味わうことでしょう。

対象指定スキルにも需要はありますが、タリックの旧スタンは彼の力の予算をあまりに食いつぶしていました。E「ダズル」は、必ず当たる対象指定スキルからスキルショットへの変更により、その潜在能力を底上げすることができました(指定した対象一体きりではなく、命中した敵全てにスタンを与えるようになります)。熟練のタリックプレイヤーはこれまで以上にはっきりとチームに貢献できる機会が増えるようになり、逆に下手なタリックプレイヤーはこれまで以上にチームをがっかりさせることでしょう。

タリックがタンクであること、そしてQ「スターライトタッチ」で味方をヒールすることは変わりませんが、新たなるW「バスティオン」でクリスタルをシェアするシステムにより、「助けを必要とする者を守護する」というタリックの役割はさらに確固たるものとなりました。ヴァロランの守護者が一度にリンクできるのは一人だけ、ということはそのチャンピオンを守ることだけに集中するのがベスト、という風に思えるかもしれませんが、そうではありません。バスティオンをかけた仲間はいわばもう一人のタリックとなり、必要に応じてタリック同様に敵の後衛のマークスマンやメイジをスタンさせたり、柔らかい味方を守ったりすることができるのです。こちらでは味方のウーコンをヒールし、あちらではルシアンのためにピールする。タリックはどこにでもいて、助けが必要な味方を守護するのです。



タリックは霊峰ターゴンを降り、PBEでその美貌をあらわにしました。

彼のクリスタルの抱擁で「守護られる」日はもうすぐです。


1 year ago