開発者ブログ:ポッピーのアニメーション

PartiestCatによる

※これは2016年初頭に公開された英語記事の翻訳です

皆さん、こんにちは!Paul “PartiestCat” Jarvisです。私はポッピーのアニメーションのスタイルや方向性の決定を任されていました。そこで今回は、デマーシアで一番小さなハンマーデリバリーサービス(英語サイト)のアニメーション制作過程の舞台裏についてお話しします。


つぶして、伸ばして、変形させる

まずはアニメーションの基本について少しお話しします。アニメーションには多くのアニメーターがよりどころとする一連の原則があります。それはキャラクターのモーションを形作る時の判断基準となり、ポーズの決定や誇張の仕方、ビジュアルや感情などの表現に影響します。特に原則の一つである「スカッシュ&ストレッチ(つぶして伸ばす)」は、LoLの開発チーム内でアニメーションスタイルの基礎として定着しています。おおざっぱに言うと、つぶして伸ばすことでキャラクターが生物的になり、生命感を得ることができるのです。キャラクターの形をねじったりゆがめたりすることで、物体の重みや勢い、スピードを強調します。また、一番重要な「鍵」となるポーズを印象付ける時には、さらに大げさにゆがめたバージョンを使用します。その、様々なアクションの間にある変形フレーム(コマ)のことを「“スミア”フレーム」と呼びます。スミアによって、アビリティや攻撃、またはその他の超高速なモーションを強く印象付けることができます。チャンピオンのアニメーションは、コンマ数秒でそれが素晴らしいと感じられる必要があり、スミアは誇張された動きと動きの間に質感やフレーバーを加えるのに役立ちます。

ポッピーに話を戻します。

ヨードルはぐにゃぐにゃです。言葉通りの意味ではなく、彼らは背丈が低いことから、動きを誇張する際に工夫の余地が大きくなります。ポッピーは体が小さいので、彼女の大きなヨードル頭の下に体が隠れてしまわないように、モーションを大きくすることが重要になります。ゴムでできているように見えてしまってはいけませんが、それでもエネルギッシュで力強い印象を持たせるには、彼女のモーションは通常よりもさらに伸びのある動きが必要になります。


彼女のハンマーにも同じ考えが適用されていますが、それについては後述します。


表情

本来、LoLは顔の表情のアニメーションが必要となるようなゲームではありません。カメラの角度と距離のため、ゲーム中のどの時点においても、キャラクターの顔は画面上ではほんの数ピクセルを占めるものでしかなく、詳細に描けば描くほど、逆に何が起こっているのかがわかりにくくなります。ですが、アニメーターとして、私たちはその考えに挑戦しようと考えました。実際に初期のテストでは、彼女の表情の変化は十分に判別可能であり、彼女の豊かな個性を追加するものだと感じられました。

彼女のキャラクターのリグ(キャラクターを動かすためのボーン、すなわち骨格のセット)に関して言えば、そのような幅広い顔の表情を実現するために、一からそれを構築し直したチャンピオンは、LoLの中でもポッピーが初めてです。リグの複雑さに関しては、各チャンピオンはあらかじめ上限が決まっているので、彼女のモデルと顔の表情のセットアップを細かく調整して工夫する必要がありました。最近のハイエンドグラフィックのゲームにおいては、キャラクターの顔のリグだけで、ポッピー全体に使われている数以上のボーンが使用されます。したがって、最小限のリソースで最大限の動きを実現することは大きな挑戦でした。

ポッピーの顔のリグ

技術的な話を先に終わらせてしまいましょう。ポッピーの顔には全部でたった11のジョイント(関節)しか存在しません。

  • 片目あたり3つ(ひとみ、上まぶた/まゆげ、目の形)
  • 口の形を作るのに3つ
  • 上側の歯列に1つ
  • あごに1つ

開発チームのテックアーティストと一緒に作業を行い(さらに何度も試行錯誤を繰り返したあとで)、上記の内容に決定しました。こんなにシンプルなセットアップで、驚異的な自由度の高さを獲得できたのです!


ポッピーの表情のテスト

ポッピーに関して私が最初に行ったのは、基本となる表情を作り上げて、彼女の感情の幅を探ることでした。その後、全員が方向性に納得できるようになるまで、それを発展させていきました。確固とした基礎ができあがったら、次は表情のタイミングに注目しました——表情がはっきりと見えるように、スキルや攻撃の最中、またはその終了後に強調すべき瞬間を探りました。攻撃を印象付ける瞬間はコンマ数秒しかないので、雰囲気の変化を明確に伝えることが非常に重要です。


…右の頬をぶたれたら…殴れ!

ポッピーのハンマー(英語サイト)は彼女自身と同じくらい重要なので、それをアニメーションにも反映させたいと考えました。それを振り回しているヨードルと同じレベルの個性を、ハンマーにも与えてみてはどうだろう?ハンマーはどのような形にすべきか?どのパーツを強調して、どのパーツを抑制すべきか?ねじれやゆがみ、または巨大化や縮小が必要となるパーツはどれか?私たちは時間をかけて繰り返し考えました。


ハンマーのリグを開発するための初期テスト

つぶして、伸ばして、変形させることは、ポッピーと同じくらいハンマーにとっても重要なので、120%過剰に演出してやる必要がありました。数フレームの間に、ハンマーの頭をマンガのようなサイズにまで拡大することで、スイングの勢いを実感させることができます。それにあわせて、ハンマーの柄の部分もしなります。工夫を凝らして作成したリグにほんの少しのひらめきを加えて、非常にクリーンなハンマーのスミアの軌跡を作成することが可能になり、スタイリッシュなモーションブラーの代替効果が得られました。これは昔からあるアニメーションの技法に近いので、私たちが普段チャンピオンで使用しているアニメーションにも上手く馴染みました。

最後に、すべてを組み合わせたバージョンをご覧ください——フルチャージでスイングした「守護者の鉄槌」です。


以上で終わりです!私たちはチャンピオン体験を向上させて、リワークごとに最高の結果を残せるように、常に新たな手法を模索しています。開発チーム全体がポッピーを世に送り出すことを楽しみにしています。彼女を作成した私たちが楽しんだのと同じくらい、皆さんにも彼女を使って楽しんでもらえるように願っています!


8 months ago