技術的課題を突破せよ :復活!雪のサモナーズリフト

bananaband1tによる

数年前、私たちはサモナーズリフトを一新しました。同じテクスチャーや地形のコピペで構成されていたマップをすべて手描きしなおすことで、古臭くなっていた「戦場」に新たな息吹を吹き込んだのです。しかしその結果、サモナーズリフトはひとつの巨大なアート作品となってしまい、手軽にマップスキンを実装できなくなってしまいました。以前はタイル状に敷き詰められたテクスチャーを差し替える一般的な手法を使ってウィンターサモナーズリフトを実現できましたが、アップデート後のマップでその手法を使うとひどく粗が目立って(クオリティが低くなって)しまったのです。つまり、新しいサモナーズリフトで(ほんの数週間で溶けてしまう)雪景色を実現するためには、アーティストが何ヶ月もかけてフレヨルドのような冬のテクスチャをすべて手描きする必要があったのです。このため私たちはサモナーズリフトを一新して以降は、サモナーズリフトに数週間だけ雪を降らせるために、他の要素の開発を遅らせるのは非現実的だと考えていました。しかしこの思い込みを、邪悪な笑顔で皆に愛されるあのヨードルが粉々にしてくれたのです。


僕らのティーモがすべてを変えた

きっかけは「ザ・ティモウィーン」イベント向けにドゥームボットを改良している時でした。通常のサモナーズリフトではカワイイ魔王を召喚するにふさわしい不気味さが足りないと感じた私たちは、ゲームモードの開発が半分終わっていたにもかかわらず新たな取り組みに着手します。まずアーティストが不気味な雰囲気を演出するべくライティング設定を調整。そこへロウソクや魔導書などの小道具を追加すると、マップはぐっと不吉な印象になりました。

サモナーズリフト:ザ・ティモウィーン版

こうして完成したマップでしたが、もちろん数週間で製作したこともあり、すべてが完璧とはいきませんでした。しかしそれでも、ザ・ティモウィーンの雰囲気を盛り上げるという効果はしっかりと出すことができたと思います。サモナーズリフトのアップデート以来、マップに手を入れたのはこれが初めてのことでした。「それまでサモナーズリフトは神聖視されていて、手を入れてはいけないものという認識だったんです」テクニカルアーティストのBrendon “RiotVitzkrig” Vitzもこう語っています。「すべてに細かな意図を込めてあるから、手は入れられない、と」

しかしドゥームボットが好評を博すると、社内ではこんなささやきが聞こえるようになりました。「不気味なサモナーズリフトが作れるなら、雪景色もできるんじゃないか…?」


冬の訪れ

当初シーズン6のスノーダウンは、ハウリングアビスにホリデー感のあるにぎやかな演出を追加し、サモナーズリフト側は各レーンにハッピーな雰囲気を演出する小物を追加するのみ、という方向で計画されていました。しかしここで背景アーティストのMax “Beezul” Gonzalezが別案を提示します。「ウィンターサモナーズリフトを復活させよう」と。しかしこれは、レーンパターンを新規製作するくらいの作業ボリュームになることを意味します。プロジェクトに参加していたアーティストたちはサモナーズリフト改装がどれほど大変だったかを身をもって知っていましたから、不安な気持ちをどうしても払拭できませんでした。エンバイロメントアーティストのJeremy “Redondo” Pageも「あの提案は正直、聞くのも怖いくらいだった。これはヤバい、俺らこれからどうなるんだ?って感じで」と振り返ります。

結局アーティストたちは、数ヶ月前に製作した新フィルタリングシステムのプロトタイプを携え、サモナーズリフトの片隅で検証を開始します。このフィルタリングシステムはサモナーズリフトの全テクスチャーのうち明色部分と暗色部分を分離するもので、このシステムのおかげでアーティストたちは明色、暗色、それ以外の3種に分類されたテクスチャーを個別にPhotoshopで開いて、レイヤーやフィルターをかけることができました。こうして変更されたテクスチャーをマップに組み込んでみると、そこには冷たい冬の匂い漂うサモナーズリフトがありました。樹木も岩も茂みの草も、構造の基礎はそのままに雪化粧が施されていたのです。

この途中経過バージョンの画像を他のライアターと共有した時には熱狂的な反響がありました。この手応えがアーティストチームの士気をさらに高め、開発を強力に推進しました。

後に「元々のテクスチャーのクオリティが本当に高かったから、僕らが手を加えても一定レベルの品質を保ち続けることができたんだと思う」とRiotVitzkrigは語っています。つまりサモナーズリフトの基礎がしっかりしていたからこそ、多少手を加えても崩壊することなくクオリティを維持できた、ということでしょう。なお、手を入れたテクスチャーはその後マップに組み込み、以後はテクスチャーの継ぎ目やアラを手作業で取り除いています。この新システムの確立によって、雪のサモナーズリフトは数週間という期間で完成することができました。もし(サモナーズリフトの改装時と同じく)すべて手描きしていたら、ゆうに半年以上はかかっていたことでしょう。

冬のサモナーズリフト制作過程:テクスチャー変更、小道具追加、パーティクルエフェクト追加、アニメーション付き小道具の追加

その後はホリデーのお祝いムードを高めるために祝祭感を高める小道具や視覚効果を追加。

ちなみにバロン用の巨大サンタ帽など一部の小道具はゼロから製作していますが、他の小道具はほとんど既存素材を流用したものです。またサンタブラウムのスキンは、スキル「冬の凍瘡」の元々の色合いをリセットして「プレゼント」と置き換えたことで衣装としっかり馴染み、名前に恥じないサンタっぷりでサモナーズリフトに素敵なプレゼントを届けてくれました。そしてフワフワのポロたちもサモナーズリフトまでご出張。アニメーターの手により雪だるまとなり、マップを盛り上げてくれました。

開発初期段階では、過去のウィンターマップ素材を流用して新マップに配置してみましたが、色合いが明るすぎて新マップの中では「浮いて」しまいました。


今後は…?

昨年の両イベントを通じて私たちは、「マップスキンを出すなら今のサモナーズリフトと同等のクオリティを達成しなくてはいけない」という考えから、「短期間のマップスキンなら、アーティスト的に完璧じゃなくても十分楽しくなるし、やる価値がある」という考えへとシフトできました。この考え方の変化に加えて、今や新しいマップ編集手法も確立されましたから、今後はもっとテーママップを出していきたいと思っています。まだ今の時点では具体的なお約束はできませんし、しばらく先の話にはなると思いますが!


2 months ago