/dev:悪夢の描き方: テックアートと悪魔のすてきな出会い

ANDMoonY, JesterCappによる

皆さん、こんにちは!テクニカルアーティストのMoonyoung “ANDMoonY” OhとJeremy “JesterCapp” Putnamです。ライアットで働くテックアーティストとして、キャラクターモデルにアニメーションを加えるための準備をするのが私たちの仕事です。この制作プロセスを知ってもらうために、今日はサモナーズリフト史上もっとも邪悪な生き物——ちび悪魔ティーモの制作過程についてお話しします。


リグとは

チャンピオン開発の初期段階では、キャラクターモデルは命のない人形のように動かない、無機的な状態です。テックアーティストはこの人形に骨格(ボーン)や関節(ジョイント)、それらを動かすためのコントローラーなどを与え、アニメーターが操り人形のように動きを付けられるようにします。この仕組みのことを「リグ」と呼びます。

ライアットのテクニカルのアーティストはMayaというソフトウェアを使用してチャンピオンやスキンのリグを作成しています。

リグは複数のコンポーネントから成り立っています。各コンポーネントはキャラクターに一般的な動作をつけるための設計図のようなもので、ジョイントやコントローラーのコードを含んでいます。基本的な体のパーツ——腕、脚、背骨、剣、マントなど、各部のコンポーネントが存在します。テックアーティストはこれら既存のコンポーネントを用い、チャンピンやスキンのための新たなリグを構築するのです。テックアーティストが、2本の腕はここ、頭はここ、背骨はここ…という風に指定を行うと、プログラムが各コンポーネントに関連付けられたスクリプトを使って新しい独自のリグを作成する、というのが基本の流れです。必要であれば新しいコンポーネントを作成することもできます——たとえば、ちび悪魔ティーモのしっぽのように。

多くのリグは同じコンポーネントを使って作られているため、同じベースコードを共有しています。そのため、「曲がる腕のコンポーネント」の設計図に変更を加えると、「曲がる腕のコンポーネント」を使うすべてのキャラクターが変更されます。各チャンピオンのリグを個別に変更することも可能ですが、この設計システムの大きな利点は複数のリグをまとめて変更する時に手作業が最小限に抑えられることです。ある一ヶ所のコードを変更すれば、そのコンポーネントが使われている箇所すべてに変更が適用されます。たとえば、「曲がるしっぽ」のような新たな技術を導入または開発した場合、その新たな技術を活かせるチャンピオンのリグすべてを簡単にアップデートすることができます(ニダリーやレク=サイなど)。

最近作られたリグは、私たちの知識やプロセス、品質基準が進化してきているために、LoLの初期に作られたものとは構築の仕組みが異なっています。コンポーネントの名前のつけ方も変わりました。そしてそれがアニメーションツールを使う際に、しばしば問題の種となります。チャンピオンの腕を動かすためのツールが「L_Elbow」という名前の肘の関節を参照するようプログラムされているのに、関節の名前が実際には「L_Arm」だったなら、そのツールは機能しません。

また一部の古いリグは、たとえば最近追加された、スライダーを動かすだけでアニメーターがチャンピオンの拳を開閉できる機能のような、最新技術との互換性がありません。さらに一部の非常に古いリグには、複数のコントローラーに同じ名前が付いてしまっている酷いデザインのものもあります。そういった古いリグに新しいアニメーションを追加すると、リグが壊れてしまうこともあるのです。

ちび悪魔ティーモの初期考案

そういうわけで、新たなスキン用のリグを準備する時に私たちが真っ先に考慮するのは、「古いリグはまだ使えるのか、それとも一から作り直す必要があるのか?」ということです。リグの再構築は新規チャンピオンのリグを一から作るのと同じくらい手間がかかります。しかし、ベースのリグが現在でも通用するものであれば、既存のものを改変したり、新たなコンポーネントを追加することも可能です。

ティーモの既存リグは十分に機能していましたが、ちび悪魔ティーモには、新たなコンポーネントが必要となる、恐ろしい追加要素がありました。


しっぽの物語

ティーモのしっぽのリグは4つのボーンとジョイントで構成されています。

この小さな悪魔のしっぽの作成は大変でした。この長さのしっぽ(ナー、ウーコン、ジャングルのウルフと同じくらい)のコンポーネントは、6つのボーンとジョイントを持っています。しっぽの動きを自然に見せるためには、ティーモの動きに応じて、関節のそれぞれを個別のアニメーションで動かす必要がありました。ですが、このサイズのアニメーションセットを作成しようとすれば、長時間アニメーターが拘束されてしまうことになります——スキンの中で比較的目立たない部分であることを考えれば、あまりにも長い時間にわたって、です。

そこで、「ジグルリグ」と呼ばれる特別なコントローラーシステムを採用することにしました。このシステムはティーモのしっぽのジョイントやコントローラーの間に親子関係を持たせ、コントローラーに上位の動きに合わせて自らの動きを調節させるものです。従って、ティーモのモデルがジャンプすれば、一番上のしっぽのボーンが少ししてからジャンプし、その後、2番目のボーンがジャンプし、さらに3番目へと続いていきます――。

要は「俺に続け」ということです。

さらに、アニメーターは上位の動きに応じて各関節がどのように反応するかを正確にコントロールすることもできます。関節間の遅延を調整して、大きなモーションにしか反応しないように、一部の動きに“ダンパー(緩衝機能)”を効かせたのです。これらの制御を使って、アニメーターはティーモのしっぽの見た目の硬さ(または柔らかさ)を細かく調整しました。完成したしっぽはティーモの体の動きに合わせて自然に、自動的に動くようになり、アニメーターは多くの時間を節約することができました。


悪魔の顔

しっぽの問題は解決したものの、まだ最後の問題が残っていました。悪夢のような恐怖をふりまく彼の特徴——ちび悪魔ティーモのもう一つの顔です。他の多くのチャンピオンと同じように、ティーモの“通常”の顔はほとんど動きません——LoLのカメラは離れているので、顔の表情の細かなアニメーションはほとんど判別がつかないからです。ただし、チャンピオンの頭のサイズが特に大きい場合(例:ほとんどのヨードル)や、追加で表情が必要になる場合は例外です。ティーモはこの両方に当てはまりました。

ティーモの親しみやすい顔を悪意に満ちた狂気の顔に変えるために、複雑な表情用のリグを持つ、ちび悪魔の2つ目の顔を作成しました。このリグは、特にリコールや死亡アニメーション中に、アニメーターがヨードルの顔を自由に動かすことを可能にしました。

ちび悪魔ティーモの顔のリグ

一つの体に二つの顔が備わったため、次は人懐こい顔を見せる時と恐るべき本性を見せる時をモデルに伝える手段が必要になります。これを行うために、「サブメッシュ」と「サブメッシュイベント」からなるシステムを利用しました。

サブメッシュとは、必要に応じて隠したり表示したりできる、キャラクターモデルのパーツです。通常は、魅惑の魔女モルガナの大釜や、サンタブラウムのソリのような、チャンピオンのエモートやリコールアニメーションの小道具に使われています。サブメッシュイベントとは、これらのアイテムに関して、いつ表示して、いつ消すのかを命令するものです。たとえば、アニメーターが魅惑の魔女モルガナのリコール開始時に、大釜のサブメッシュが7秒間表示されるサブメッシュイベントを設定したとしましょう。この7秒が経過すると、大釜は再び消えてなくなります。

ちび悪魔ティーモの死亡アニメーション

ティーモの悪魔の顔とそのアニメーションはサブメッシュとしてコードが組まれていて、ゲーム中はほぼ常に隠されています。そして、アニメーターはそのかわいい顔をはぎ取り、狂気に満ちた顔をあらわにするサブメッシュイベントとして、ティーモのリコールと死亡アニメーションを指定しました。リコール/死亡アニメーションが終わるとサブメッシュは消えて、うっかり騙されてしまいそうになる、ティーモのかわいらしい表情がまた戻って来ます。

本当のティーモはどっちのティーモ?ルーンテラは知る由もなし…


前方偵察

LoLのテクニカルアーティストとして働くことは、常に細かな改善点を探すことを意味します——何年もかけてたくさんのスキンを開発してきましたが、私たちは今でも、どうしたらより良いスキンを作れるのかを学び続けています。開発チームが持ち込む情熱的なアイデアに刺激を受けることで、私たちもさらなる技術向上を目指してチャレンジすることができます。クールなスキンを迅速にお届けするためには、より優れたコンポーネントや新たなツールの開発が重要なのです。

それに、やっとティーモの外面を内面と一致させることができました。これで安心してぐっすり眠れます。もう、ティーモの愛らしいモフモフした外見には騙されません。表も裏もお見通しですからね。


6 months ago