/dev:2016年に登場した 新チャンピオンを振り返る

Riot Scruffyによる

2016年を振り返ってみると、LoLの世界には新たに6体のチャンピオンがリリースされました。そこで今回は、新たに登場したチャンピオンたちを振り返り、何が上手くいって、何が上手くいかなかったのか、そして2017年に向けて私たちが学んだ教訓についてお話ししようと思います。

それでは、さっそく見て行きましょう。


孤高の芸術家、ジン


ジンがリリースされてから、もう一年経ったなんて信じられますか?私たちも信じられない気分ですが、間違いなく、4つ数えるのは最高の気分でした…何度も、何度も(そしてさらに何度でも)。


上手くいったこと

真面目な話に戻しますが、ジンの仕上がりには非常に満足しています。彼の独特な通常攻撃(オートアタック)のパターンはADCのゲームプレイに新風を吹き込み、100試合こなしても色褪せない楽しさを生み出せたと思います。彼はマークスマンアップデートと同時期に登場することとなったので、「あらゆるマークスマンの通常攻撃はそれぞれに個性的であるべきだ」という私たちがマークスマンアップデートにおいて設定した目標に高いハードルを課すことになりました。

ジン コンセプトアート

彼のゆがんだ性格(と声)は偏執狂的な喜びをもたらし、毎試合、サモナーズリフトを美しい“芸術”へと昇華させます。シェンやゼドと結びついた彼の物語は、どちらもコミュニティーから歓迎されました。新チャンピオンに他のチャンピオンたちとの関連を持たせて彼らの物語を発展させれば、プレイヤーは彼らの世界をもっと知りたいと感じることでしょう。


もう少し上手くやれたと思うこと

ジンがチームにもたらす独特な強み(恐ろしく長い射程のスキル、遥か遠くからのスネア)は、攻撃速度が遅く、他のマークスマンたちよりも継続的に与えられるダメージ量が低いという大きな弱点を持たせることを前提に作られたものでした。問題は、「練習用ダミー」を相手にした場合では確かに彼のDPSは低いものの、実際の試合では最終的なダメージが他のADCたちとほぼ変わらなくなってしまうことです。マークスマンたちは通常攻撃と通常攻撃の間に位置取りを変える時間が必要になりますが、これがあるために彼のDPSは私たちが思ったほどには低下しませんでした。


学んだこと

さらなる考察:開発中、当初から非常に満足度の高いプレイパターンを見つけることができていたものの、それを“完全”なものにすることには苦戦していました。そして、ジンがチームにもたらすユニークな価値を伸ばそうと努めたことで、Wによる長距離のスネアやアルティメットスキルのとんでもない射程などが生まれました。全体的に見て、ジンは「新チャンピオンをリリースするごとに、直感的な満足度と新戦術の両方を提供しよう」という私たちが目指す目標のいい見本になっていると思います。


オレリオン・ソル


巨大で少し近寄りがたいスペースドラゴンが昨年の2番目のリリースです。「長く待ち望まれた登場」という言い方ですら十分ではない彼は、何度か作り直しが行われ(テーマとゲームプレイの両方の面で)、大きな期待と注目が集まる中でリリースされました(さらば「アオシン(AoShin)」よ)。


上手くいったこと

オレリオン・ソルのビジュアルは胸を張れる出来だと思っています。高い芸術性に高い技術力が組み合わさり、これまででもっとも印象的なビジュアルを持ったチャンピオンを作り出すことができました。さらにつけ加えると、彼の気取った偉そうな性格は、神のごときスペースドラゴンという存在に対して人々が抱く期待に十分に応えられていると思います。

オレリオン・ソル コンセプトアート

オレリオン・ソルはスキルセットにも独自性を持たせることができました。彼がマップ上を飛んでいきながら敵チーム全体に巨大な超新星爆発を当てる姿は最高にかっこいいですし、同じ役割の他のチャンピオンたちとの違いは一目瞭然です。


もう少し上手くやれたと思うこと

オレリオン・ソルのゲームプレイが様々な面で独特であるのは確かですが、私たちがこのチャンピオンで目指していたいくつかの目標は達成できませんでした。“星の固有スキル”のゲームプレイには(フラストレーションやバランスの観点から見て)問題はありませんが、やはりあまりにも特殊なので、実質的にはごく一部のプレイヤーにしか共感されていません。コンボ入力の難しさやダメージを出すのに時間がかかることから、他のスキルセットのタイプに比べると直感的に魅力を感じられるものにはならなかったようです。


学んだこと

振り返ってみると、かっこよくて壮大なテーマには、もっと簡単に扱えるゲームプレイを組み合わせた方がよかったかもしれないと思います。星を破壊してしまう天空のドラゴンなんて誰だってプレイしてみたいと思うでしょうが、オレリオン・ソルの独特なスタイルではプレイできる人が限られてしまいます。


タリヤ


次にリリースされたのはタリヤです。全体的には、満足のいく部分と、もっと上手くやれたと思う部分の両方が存在する結果となりました。


上手くいったこと

巨大な壁とノックアップのコンボで、タリヤは非常にユニークかつエキサイティングな瞬間をLoLにもたらしてくれます。彼女のスキルを完璧に扱うことができれば、高い満足感と共にとても強力な効果が得られますし、それを生で見ていると最高に楽しめます。


もう少し上手くやれたと思うこと

タリヤは使いこなすことができれば非常に強力ではあるものの、そのために必要となる難易度は上手く調整できなかったと思います。入力が複雑なだけでなく戦術的な動きも必要になることから、一見するとシンプルに見える彼女のスキルセットは、実際には複雑なものになってしまいました。タリヤが得意とする動き回って敵を分断するゲームプレイは連携の取れたチームでは特に強力になるので、その時のメタにおいて彼女が強力な場合は常にプロシーンでピックされてしまうという問題が生じます(アジールやカリスタと同じです)。

タリヤ アニメーションアイデア

難易度の高さと“プロの問題”により、彼女のリリース後は「バランス調整のジェットコースター」に乗っているように感じられたと思います。最終的には高いスキルを持つプレイヤーなら勝てるものの、必ずしも圧倒的ではないという妥当な位置に落ち着きました。


学んだこと

タリヤのリリース以降は、「プロシーンでのプレイが極端に強力になり過ぎて、平均的なプレイヤーの楽しみを奪うことにならないかどうか」を特に注意深く検証するようになりました。長期的には、機会があればできる限り彼女の使いやすさを改善していきたいと思っています。


クレッド


「この$%!#、何がどうなった?」クレッドのような狂気のヨードルにとっては、あらゆる戦いが背水の陣です。


上手くいったこと

好き嫌いはあるでしょうが、クレッドには私たちが手掛けてきた中でも最高にクレイジーなセリフが用意されていて、今でも意外な時に彼のセリフの引用をスレッドで目にすることがあります。スカールはとってもかわいいので、何度おじけづいて逃げ出されても責める気にはなれません。

彼はゲームプレイを感情的な体験と一致させることで、それを上手く強化することができています――つまり、キレッキレになることこそが唯一の生き延びる道です。クレッドは平均的なLoLプレイヤーに向けたチャンピオンになっていて、スキルレベルに関係なく誰でも楽しめることにも満足しています。


もう少し上手くやれたと思うこと

振り返ってみると、非騎乗時の影響力を大きくして、彼のスキルを用いたゲームプレイをもっとわかりやすくしたかったと思います。プレイヤーがWの効果時間を上手く活かしているとは思いませんし、Q > Eのコンボはトラバサミロープのみで敵を拘束するカウンタープレイの価値を下げているように感じます。


学んだこと

クレッドは、個人的な強い思い入れで何かを作ってみたものの、そこから多くのことを学ぶ結果になったという典型だと思います。「まずは撃て。質問はその後だ」というタイプのキャラクターアプローチは、一部のプレイヤーにはとても気にいられても、他のプレイヤーには嫌われてしまうという尖ったチャンピオンを生み出してしまいます。このタイプのアプローチに挑戦することは二度とないとは言いませんが、あまり多くはないでしょう。


アイバーン


上手くいったこと

時には、ただただ「いいヤツ」になってみるのもいいものです。アイバーンはとっても愉快でハッピーな木であり、彼を使ってジャングル内を歩き回るのは楽しくて仕方がありません。陽気で友好的な人柄と真面目で強そうな人柄を組み合わせられたことには満足していますし、単純にあのひょろ長いまぬけな歩き方を見ているだけでも楽しめます。

アイバーン 初期イメージ

私たちはアイバーンのゲームプレイがジャングルのエコシステムへの長期投資になればよいと考えていました。彼のまったく新しいジャングル周回パターンとスタイルは、数百試合にわたってジャングルを新鮮に感じさせてくれるものになると思います。スキルセットの独自要素の多さだけでも他に類を見ないものになっており(チーム全体ダッシュ、茂み、ジャングルファーム)、彼に関しては、どこまで“変な”新チャンピオンを作り出せるかというアイデアが非常に上手くいきました。さらに、テーマ性とゲームプレイを上手くマッチさせれば、その両方が強化されるという好例でもあると思います(オレリオン・ソルと比較して)。


もう少し上手くやれたと思うこと

アイバーンはリリース直後は弱くて苦戦していたので、それによってプレイヤーが彼のユニークなプレイスタイルに挑戦することをさらに難しくしてしまったと思っています。幸いにも、すぐに強化して平均レベルまで上げることができたので、現在はバランスが取れて妥当な位置にいると思います。一つだけ後悔しているのは、リリース時に存在したデイジーのバグです。最近の数パッチで修正されましたが、もっと高い水準で仕上げておくべきでした。ペットのAIに関しては今後も時間をかけて改善していきたいと思います。


学んだこと

“ダメージを与えないジャングラー”のようなクレイジーで壮大なコンセプトには価値があります。このようなアイデアに初期から全力で取り組むのは大変ですが、既存の確立したやり方で新チャンピオンを開発するのとは違い、野心的な目標に向けて解決法を見い出せるように自分たちを追い込むことができます。


カミール


一年の中で最後に登場したカミールは、フィナーレを飾るのにふさわしい切れのあるチャンピオンとなりました。


上手くいったこと

彼女はキャラクターもゲームプレイもわかりやすくて満足度が高いですし、全体的に私たちは非常に満足しています。フックショットの動きは直感的ですし、求められる正確さやタイミング、判断力なども“ちょうどいい”感じで、ブロンズからプロまで、どんなスキルレベルのプレイヤーでもある程度の技術が要求され、なおかつ楽しむことができるチャンピオンになっています。

カミール コンセプトアート

彼女の機転の利いたキツいセリフとクールな見た目のおかげで、自分より“劣る”相手と対戦した時には、本当に尊大ぶった微笑みを浮かべてしまいます。また、成熟したプロフェッショナルなプレイヤーが未熟者たちにスキルを披露してやるのを見るのもいい気分です。私は開発チームの「脚だけで攻撃するチャンピオンだって成立する」という主張にずっと懐疑的だったのですが、これは私が間違いだったと認めざるを得ません。


もう少し上手くやれたと思うこと

彼女は新チャンピオンの“戦術的な独自性”の分布図の中では下位にいますが、私は今でも彼女のRは常に動き続けて頻繁にダッシュするチャンピオンに対する強烈なカウンターになっていると思います(チーム内でよくMeddlerと議論になります)。ここ数週間はバン率がかなり高くなっているので、彼女が強過ぎる状態でリリースされたことは間違いないだろうと思います。数字的にバランスが取れた状態になれば、彼女を相手にした時に感じるフラストレーションは耐えられないほどにはならないと思います。カミールのパワーレベルについては今後も注意深く状況を観察していきます。


学んだこと

有利になる瞬間が明白で“試合を壊す”タイプのスキルは、プレイヤーを新チャンピオンに惹きつけるのにうってつけですし、“上手さ”を活かすことのできるパターンが存在し、戦術的な独自性が明白であるなら、プレイヤーとの間に長期的な絆を生むこともできます。ただしこれは諸刃の剣であり、“試合を壊す”スキルを持つチャンピオンは、バランス的に強過ぎる状態だとすぐにフラストレーションに繋がってしまいます。


これから


2016年の話は以上です。そして、以下がチャンピオン開発チームの2017年の抱負です。

基準を高めていく - ゲームプレイ、ビジュアル、テーマ性の革新によって、LoLのチャンピオン開発の基準が恒久的に高まる「決定的な瞬間」というのが存在すると思っています。あらゆる側面から自己を見直して向上し、自分たちの限界に挑戦したいと思っていますので、2017年にもそのような瞬間があればいいと思っています。

サプライズ - LoLに新チャンピオンを投入することの魅力の一つは、何だってできるということです。すでに130体以上が存在する状況では難しくなるとはいえ、まだまだとっておきのアイデアをいくつか残しています。

深い共感を生み出す - これは、LoLが必要としているアイデアやキャラクターとは何かを探る、チャンピオン開発の初期段階における目標です。。個性的だったり、よくできているだけでは十分ではありません。プレイヤーの想像力を刺激して、これからずっとメインで使っていきたいと感じてもらえる魅力のあるチャンピオンにしたいと思っています。新チャンピオンは一年に6体だけなので、チャンピオンは多くのプレイヤーが共感できるものにして、LoLがいつまでも、誰にとっても新鮮でエキサイティングなものであり続けるようにしたいと思います。

“プロの問題”を避ける - ここ数年、ゲームプレイデザインで共通した問題となっているのは、過度に複雑で連携に依存するスキルセットを作ると、プロシーンで圧倒的になり過ぎて、一般のプレイヤーにはほぼ使われないレベルにまで弱体化しなければならなくなることです。「求められるスキルの敷居は低く、天井は高いチャンピオン」を作ることを目指していますが、常に上手くいくとは限りません。


6 months ago