コミュニティー
譲れない戦い:チャレンジャー最速到達への道のり

北アメリカサーバーで「獣たちの宴」最速チャレンジャー到達を果たしたプレイヤーのインタビューです。

コミュニティー作者Rodger “Riot Prism" Caudill
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セット4.5「獣たちの宴」ではTFT史上初の試みとして、リリースと同時にチャレンジャーティアが開放されました。このニュースが発表されると一部プレイヤーの間で地域最初のチャレンジャー到達を目指すレースが企画され…ミッドセットアップデートのリリース日となった1月21日、栄誉を目指す熱い戦いが開幕することとなりました。実はその気運は「獣たちの宴」リリースの数週前から高まっており、Common.ggの「Race to Challenger(チャレンジャー到達レース)」といった各Webサイトのレースに腕自慢のプレイヤーが集結、最速の称号を目指すレースに名乗りを上げていました。

今回は(1セットに)一度しかないチャンスを掴み取り、北アメリカサーバーで「獣たちの宴」最速チャレンジャー到達者となったCoralieと、彼女がそこに至った軌跡を追いかけてみたいと思います。

MINIONSRPEOPLE2:Coralie、まずはインタビューを受けてくれてありがとう。まずは自己紹介、それから一番好きなリトルレジェンドを聞いてもいいですか?

CORALIE:もちろん!どうも、Coralieです。セット4.5で北アメリカ初のチャレンジャーになりました!これまでもパッチに順応するのが早く、最強の構成を見つけ出すのを得意としていました。今回はそういう自分の強みが活かせると思ったので、新セットがリリースされる時に腕試しをしてみようと決意した感じです。今一番好きなリトルレジェンドは「アンブラ」です。理由は今回のレースで使い続けたので愛着があるのと、あのギターリフが最高だから。

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最終バージョン完成前に模索案として出ていたアンブラのコンセプト案たち

MINIONSRPEOPLE2:確かにあのギターリフはとてもいいですよね。さて、TFTを初期の頃からプレイしているのは知っているのですが、始めたきっかけは何だったんですか?

CORALIE:TFTがリリースされてすぐにハマった感じでした。LoL自体もシーズン3からプレイしていたので、チャンピオン達はよく知っていましたし。LoLでも理論構築が好きで、メタから外れたビルドをよくプレイしていたんです。TFTはその理論構築のスキルを自分が大好きな世界で活かせると感じました。それから、操作技術よりも戦略性が重要なところが気に入ったというのもあります。

MINIONSRPEOPLE2:TFTではランク戦しか遊ばないと聞きましたが?

CORALIE:ええ、最初はノーマルもかなり遊んでいたんですが、しばらくしてランク戦で腕試ししてみたら結構いい成績が残せたんですね。それからまたノーマルに戻って友達と遊んだりしていたんだけど、簡単すぎると感じるようになってしまって。個人的な意見ですけれどね。これは負けるべきだろうと思う構成でも勝ててしまうんですよ。TFTの強い人がノーマルに行くと、ゴールド管理のスキルでゴリ押しして変な構成でも勝ててしまう。結局、ノーマルでは楽しめないと感じるようになってランク戦しかプレイしなくなりました。

MINIONSRPEOPLE2:やっぱりこれまでも高ランク帯に?

CORALIE:ええと、セット1はダイアモンドIで終わったと思います、あんまりプレイしていなかったんですが。それ以降はマスターで終わるか、一時的にマスター到達するくらい。LPはセットを追うごとに増えていきましたけれど。

MINIONSRPEOPLE2:つまりチャレンジャー到達はセット4.5が初?

CORALIE:はい、グランドマスター到達も初でした。

MINIONSRPEOPLE2:ワォ。ところでセット4.5でチャレンジャーに到達するまでにどのくらいの時間がかかったんですか?

CORALIE:29時間です。

MINIONSRPEOPLE2:凄い長さですね…どうやったんですか?

CORALIE:ええと…今回はまず前日に有給を取って、しっかり寝ました。セット4の時も「アイアンからマスターへ」レースに出たんですが、その時はみんな初日の終わりあたりでプラチナ到達していて、私は初日終了時点でランク3位だったんです。一度も1位には届きませんでした、差は50 LPくらいだったと記憶しています。良い調子でしたし、メタもすぐに理解できていたんですが…仕事から帰ってきてすぐレースに参加したせいで36時間起きっぱなしで、結局寝てしまったんです。だから今回はちゃんと睡眠を取って臨めばやれるかもしれない、って思って。

事前準備も入念にしていましたよ。事前情報から理論構築して良さそうな構成に目星をつけたりして、戦略をいくつか用意したりしていました。ただPBEはリリースの3日前までプレイしていませんでした。間違った印象を持ったり、悪い癖がついたりするのを避けたかったので、バランス調整が落ち着いてからプレイしたかったのが理由ですね。あとはRobinsongzに招待されて身内戦もやりました。あれは良い練習になったし、何が強いかを理解する役にも立ちました。

MINIONSRPEOPLE2:なるほど、3日間PBEをプレイして、理論構築して、睡眠をしっかり取る。それが29時間でチャレンジャーに到達した秘訣ですか?

CORALIE:だいたい合ってます。

MINIONSRPEOPLE2:差し支えなければ、29時間のレースに臨む前に用意していた理論構築と戦略について詳しく聞かせてもらえますか?

CORALIE:もちろん。自分が想定していた構成の強みを本当に把握したのは、レース開始後の5試合くらいの間でした。まず、過小評価されているけど本当は強いんじゃないかと考えていた構成がシヴィアとラカンを含む構成の2つだったんです。特にラカンの強さは体感しにくいものだったんじゃないかと。多くの人はキャリー役、つまりダメージ源になるチャンピオンを探していたからラカンを見逃したんだと思います。

そしてみんながティア4の強力キャリーを何とかして揃えようと考えている間に、私はとにかくレベル7時点で強い構成を完成させて、そこからトップ4に残ることに専念したんです。

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敵を武装解除し、敵をタウントして、さらに自分自身を守るシールドを持つ2コストユニット。いえ、マントについては何も言ってないですよ!

MINIONSRPEOPLE2:それはどうして?

CORALIE:まず私が注目したのは「選ばれし者の出現率」で、レベル6になるとティア1チャンピオンの選ばれし者が来なくなる点でした。ここで私が考えたのは、毎回3-2で強い選ばれし者を引くまでリロールするという戦略です。ティア1が出る確率を排除できるし、そこまで連敗ボーナスでゴールドを貯めているので毎回50~60ゴールドくらいは所持しているから、そこでトップ4まで入れそうな強い構成を確実に完成させてしまうんです。

事前にティア2~3の選ばれし者を使った戦略を多数用意していたんですが、最終的に私のお気に入り構成はそのうちのひとつになりました。3-2で構成変更が終わったら確実に連勝できるんです。他のプレイヤーはみんなレベル8でリロールするまで我慢の時間帯だと考えていましたから。

MINIONSRPEOPLE2:つまり中盤戦に強い構成を完成させることに集中する、というのが戦略だった?

CORALIE:はい、その時間帯が他のプレイヤーが一番弱くなると分かっていたので。中盤戦は毎試合必ず来るわけですが、序盤~中盤で負け込むとそこで試合が決まってしまうので、終盤戦で構成を変更しても無意味になるんです。それに終盤戦での構成変更って少し難しいですよね。これは今もそうですが、キャリーを活躍させるために必要アイテムとチャンピオンが決まっていますから。そんな中、みんなが最適な構成へ移行するために試行錯誤している間に、中盤戦特化の構成で勝っていくと。

これを踏まえて考えてみると、エルダーウッド特性は完璧なんです。ステージ3で連続リロールすれば、90%以上の確率で最後まで使う「選ばれし者」が入手できます。エルダーウッドの選ばれし者なら誰でもいいし、メイジでも大丈夫。ティア1の選ばれし者は絶対に来ないので、チーム構成の要になるティア2~3キャリーを狙っていく。ゴールドをしっかり貯めているので結構欲張れますし。

そしてもう一つの重要ポイントが、ステージ3で受けるプレイヤーダメージが上がっていること。誰もが中盤戦に弱くなる環境だと、ここで相手をかなり追い込めるんです。私の場合はだいたい5~6ユニット生存した状態でラウンドに勝利していたので、プレイヤー体力が大幅に削られてしまってレベル8まで我慢していられなくなる。

MINIONSRPEOPLE2:はぁー!ところで公式リリース前にラカンが強いと気づいた点以外に、エルダーウッド構成に特化(いわゆる「ワントリック」)することになる予兆みたいなものはあったんですか?

CORALIE:なかったと思います、というか何らかの構成に特化しようと思っていませんでしたから。私はただラカンが凄まじく強いことにいち早く気づき、狙った構成に合う選ばれし者をかなり確実に獲得する方法を見つけたというだけなんです。方針転換したのはだいたい12時間経過したくらいだったと思います。当初はこの調子なら30時間くらいで到達できるなと考えていました。でもある時点で、疲れすぎてリロール中の買い逃しも増えるし、終盤戦の構成変更が難しくなるだろうと感じたんです。だから終盤戦の構成変更や大幅な入れ替えを全パターン把握しようとするんじゃなく、ひとつの構成とその派生系を極めようと決断しました。

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Coralieがチャレンジャーに到達する2試合前のチーム構成

MINIONSRPEOPLE2:ではチャレンジャー到達レースは一旦置いておいて、変化し続けるTFTを今現在遊んでいるプレイヤーに向けてアドバイスするとしたらどんな内容になるでしょうか?

CORALIE:私はこのゲームの上手さは2種類に分類できると思っています。まず、私のようなタイプはパッチ適用当日が一番有利です。私が大きく勝ち越すのはだいたいパッチ当日で、1週間くらい経つとあまり勝てなくなっていきます。プレイ頻度によっては負け越したり、現状維持が精一杯だったりもします。これは順応性の高さが私の強みだからでしょう。パッチノートを読んで「なるほど、それならこれは強い/弱いな」とすぐ特定できるところ。私はPBEではプレイしませんが、変更内容には目を通していますし、変更内容を読み解くのも得意なほうだと思います。

そしてもう一方が、強い構成が判明してからのほうが上手くプレイできるタイプ。強い構成を模倣するのがうまく、プレイ技術に秀でているので同じ構成を他者よりも上手く使いこなす。このタイプの人たちはそうやってランクを上がっていきます。ただ私は個人的に、他人よりも先に強い構成を見つけられることは最強の武器だと思っています。

MINIONSRPEOPLE2: なるほど。さて今後についてですが、いずれ新セットもリリースになりますよね。その時はどうする予定ですか?ゲームプランを変更する、今の戦略をそのまま使う、など考えられますが。

CORALIE:今のセットがどんなメタで終わるかが重要になると考えています。私が今回3-2で連続リロールして序盤~中盤重視の構成を作る攻撃的なスタイルを選択しようと思ったのも「直前のセットがどんな風だったか」を考慮した結果でしたから。私は、多くのプレイヤーはそれまで上手くいっていた手法に固執する傾向があると考えています。これが3-2でパワースパイク(構成などの完成による急激な戦力の上昇)まで持っていけば他のプレイヤーを追い込めると確信していた理由です。セット5に向けて私が用意する戦略はすべて、今セットの最終メタに基づく部分が大きくなると思います。もちろんセット5がどんな内容かにもよりますが。で、セット5ってどんな感じなんですか?

MINIONSRPEOPLE2:ええと…その…

MINIONSRPEOPLE2:さ、さてTFTは開発側がルールを変え続けてもそのたびに「解法」が発見され続けていくゲームですよね。もし今TFTのルールを変えられるとしたら、何を変えますか?

CORALIE:やり方は色々あるでしょうが、本当に変えるとなったら難しい…ですね。私に変更内容が与える影響をテストする技能はないですから。推測はいくらでもできますが、どれだけ考えたところでミスはありえますし。それに今は最良の方向性を定義するのが難しい状態にあると思います。今PBEでテストしている選ばれし者の変更は結構好きですね…各ティアの適切な出現率を導き出すという問題は残っていますが。

MINIONSRPEOPLE2:では次は少し違うタイプの質問を。競技シーン/プロ入りの予定はないんですか?

CORALIE:まだ実力が足りないと思っているので、今のところありません。そして実力をつけるにはもっとプレイして、チャレンジャーランクを維持し続ける必要がありますし、一般的にプロってフルタイムの仕事じゃないですか。トップクラスの人たちはほとんど配信を仕事にしていますが、私にはその時間がないので…。実はチャレンジャーに到達してからLPは停滞中なんです、仕事があるからプレイする時間がなくて。あと最近はインターネット接続にちょっと問題があったので、ランク上げに全力投球できない状態だったし、だから思いつく限り最速の方法でチャレンジャーに到達しようと特定の構成に特化したんですよ。

そしてTFTは今も変わり続けているので、今後は別の「学び方」を見つける必要があるなと感じています。まあ、私はそうやって柔軟に対応していくこと自体を楽しんでいるんですけどね。ずっとひとつの構成に特化して遊ぶのが好きなわけじゃありませんから。ただ今のところはプロになりたいという気持ちはありませんが、シーンで開催されている小規模なトーナメント…「Giant Slayer」ファイトナイトみたいなイベントには参加していくつもりです。

あ、セット3.5の頃には全員女性のリーグ「TFT Guardian Angels League」でプレイしていたんですよ。当時は毎週トーナメントが開催されていて、すごく楽しかった。参加枠数は少なかったですけどね。あのリーグは現在活動休止中みたいですが、そろそろ自分の実力にも自信が持てるようになってきたので、トッププレイヤーと対戦したりしてみたいなとは思っています。だから他のトーナメントに参加することに抵抗は全然ありません。全試合8位で終わって全然楽しめなかったらどうしよう、なんて心配も一切していないです。

MINIONSRPEOPLE2:誰だって8位になる時はありますからね。

CORALIE:その通り。特に4試合制のトーナメントでは仕方がない時もあります。以前「Guardian Angel」トーナメントに参加した時は予選敗退したんですけど、予選が2試合制で、獲得ポイントが多いプレイヤーが勝ち抜ける形式だったんですよ。序盤構成の種類が多いと、最初の数ラウンドで負けがほぼ確定してしまうこともあるんです。今の序盤構成は比較的安定していますが、当時は序盤の構成が出揃ったところで「あー…この試合は4位に食い込めれば上出来かな」みたいになることもありましたから。

MINIONSRPEOPLE2:なるほど…今後は4位以上が増えることを願うことにしましょう。今回は色々な知見を共有してくれてありがとうございました。最後に…Coralieをもっと知りたい、TFTを学びたい!という人に向けてチャンネルやアカウントを紹介してもらえますか?

CORALIE:今は twitch.tv/colrux だけですね。29時間レースの時も全部配信しましたが、実はそれが配信2回目でした。ただ今後はいろんな人から気にかけてもらえるようになったので、配信頻度を上げていくつもりです。フルタイムの仕事に就いているのでプレイできる時間は限られますけど、木曜と土曜の夜(訳注:米国時間)はできるだけ配信するつもりです。ランク戦で真剣勝負しながら自分の思考プロセスをみんなに伝えたり、配信を見に来てくれた人からの質問に答えたりするのは好きなので、よかったら見に来てくださいね!

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集結したアンブラたちが内に秘めたロック魂を炸裂させつつ、Coralieの偉業を讃えている図


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