その硬い甲羅はもちろんですが、ラムスの特徴といえば、何といってもそのスピードです。パッチ2.2でラムスが登場したことにより、ワイルドリフトでは疾走感あふれるプレイが繰り広げられています。そこで今回は、PC版LoLで12年近く親しまれて来たラムスのスキルを、なぜワイルドリフトで変更したのかお話したいと思います。また、お馴染みのチャンピオンたちをPCからモバイルへ移行するにあたり、私たちがどのようなアプローチを取っているかもご紹介していきます。
ワイルドリフトで行われた、ラムスの主な変更点は以下のとおりです。
数年前にラムスをワイルドリフトへの登場を検討したとき、プレイヤーがマップ上でラムスを「運転している」ように感じさせることができないかと考えました。ここで重要になってくるのは、「PC版LoLもワイルドリフトも、同じリーグ・オブ・レジェンド」ということです。チャンピオンの特徴には、一貫性を持たせる必要があります(例えば、突然ジャンナを屈強なブルーザーにすることはできないのです)。PC版LoLとワイルドリフト、どちらを先に始めたとしても、プレイ方法を学び直すことなく、もう一方のゲームにすんなり入り込めなくてはなりません。「トゲトゲのある小さなレーシングカーを運転する」というのは、リフト中を駆け回るラムスの特徴を表現するのにピッタリといえます。では、どうやって実現するか?
チャンピオンの特徴を維持するためには、時にプラットフォームに応じて異なる仕様を設ける必要があります。例えば、フィズの「ユニットをすり抜ける」というPC版の固有スキルは、ユニットの衝突判定がないワイルドリフトでは意味がありません。PC版LoLのチャンピオンをワイルドリフトに落とし込む手法は、大きく分けて3つあります。
デッドボタン:画面上に、デッドボタン(操作のできないボタン)は配置しない。つまり、ヴァイの「メッタ打ち」のように、能動的な操作を必要としない自動効果スキルは避ける
操作性:スキル発動などの機会を増やし、左右のボタンで操作するという特徴を最大限に活用する
ゲームデザイン:PC版に比べマップが狭く、試合時間の短いワイルドリフトに合わせて調整する、またはチャンピオンの古くなっているスキルを刷新する
ラムスの変更は、下2つの中間に位置しています。左右のボタンを活用することでワイルドリフトでの「ドライブ」が可能となり、また新たなスキルによって、アーマージロのゲームプレイに文字通り「大きな飛躍」が見られることとなりました。ラムスはマップの地形により動きを制限されることが多く、また「ころころ」がミニオンにぶつかり途中で止まってしまうことも多々ありました。しかし、「どーんどーん」が加わったことで、そうした障害物を飛び越えてチャンピオンを攻撃できるようになり、これまでになかった様々なスーパープレイが可能となりました。
これらのアップデートは、一方通行ではありません。これは特に3つ目のゲームデザインに関してですが、ワイルドリフトチームが古参チャンピオンをアップデートする場合、PC版LoLチームはその変更がPC版でも適用可能か検討します。ラムスのアップデートは、ワイルドリフトのバージョンに以下のような独自の調整を加えたうえで、PC版LoLにおいてもパッチ11.8で導入されました。
実のところ、PC版チームがワイルドリフトチームと協力して、PC版チャンピオンのメカニズムをアップデートしたのは、ラムスが初めてではありません。PC版で最近行われた変更のいくつかは、元々ワイルドリフトでデザイン、テストされていたものです。例としては、スキルレベルに応じて矢の数が増えるようになったアッシュの「ボレー」、Eスキルになったダイアナの「月下美刃」、味方にも使用可能となったアニーの「モルテンシールド」などが挙げられます。
PC版LoLとワイルドリフトという2つの環境がある今、チャンピオンたちのゲームプレイには新たな可能性が開かれています。両チームで密接に協力し、これから数多くのチャンピオンをワイルドリフトに登場させていくのがとても楽しみです。それでは皆さん、リフトでの楽しいドライブを!