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/dev: シーズン2020ランク戦&マッチメイキング進捗報告

現在までの取り組みと成果、今後のプロジェクト、プレシーズンの初期模索案など。

Dev作者Riot Codebear
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おかえりなさい!LoLコンペティティブゲームプレイのプロダクトリードを担当しているCody "Riot Codebear” Germainです。

2月の後半、私たちは2020年のランク戦に関する計画をお話ししました。今回は同じトピックに立ち戻り、現時点までに実施してきたこと、そして今後予定されている大きな変更点について触れていきたいと思います。さあ、準備はよろしいですか?

目標

改めて振り返っておくと、私たちが今年解決に取り組むのは「長年にわたり誰もが経験し続けてきた」問題たちです。そして以下に示す目標を達成するには、既存のシステムをバラバラに分解し、老朽化した箇所を引っこ抜く必要があります。

  • 待ち時間や利便性を犠牲にすることなく、キューのマッチメイキング品質を高める
  • ランク戦およびマッチメイキングシステムの透明性を高める
  • やり込みの満足度を高め、もっとスキルをアピールできるようにする
  • 報酬および褒賞を、LoLに費やした時間に見合うもの、そして他のプレイヤーに認識してもらえるものにする
  • 共に遊びたいプレイヤー同士が遊べるようにし、一緒にプレイしたい人を見つけられるようにする

前回の投稿では「試合を台無しにする行為」について触れましたが、この部分は明示的に目標として示されていませんでした。そこで試合における他プレイヤーとのやりとりを網羅する新目標を以下のように設定しています。

  • 悪質行為の被害に遭ったプレイヤーに、措置内容をより詳細に知らせる

初期段階で得られた結果

2020年も三分の一が終わりましたが、チームはここまでひとつめの目標である「待ち時間や利便性を犠牲にすることなく、キューのマッチメイキング品質を高める」ことに注力してきました。

以下は2月以降に実施した施策とその結果です。

どこでもオプション人数の均等化:パッチ10.6で導入した「どこでもオプション人数の均等化」は、敵・味方チーム間でどこでもオプション発動プレイヤーの数をできる限り等しくする施策です。導入以降、ランク戦(ソロ・デュオ)におけるどこでもオプションの不均等発生率は11.4%から5%未満まで下がり、キューの待ち時間にもほとんど影響は生じませんでした。

どこでもオプションのポジションスワップ:導入直後には、どこでもオプション機能が各プレイヤーの希望ポジションを正確に考慮しない不具合があり、2名のどこでもオプション発動プレイヤーが互いの第1希望・第2希望ポジションで試合に入る状況が発生することがありました。しかしこのバグはプレイヤーの皆さんの協力により検出することができたため、パッチ10.7で完全に排除できしました。なお、修正による待ち時間の増加はありませんでした。

プリメイドの均等化:どこでもオプション人数の均等化と同様、プリメイド(あらかじめパーティーを組んでいるプレイヤー)の人数も敵・味方チーム間で均等化しました。こちらの機能はパッチ10.7で導入となり、それ以来プリメイドの不均等発生率は54%から6%に減少しています。この修正による待ち時間の増加はスキル帯によって異なりますが、ほぼ影響なし~影響なしの範囲に収まっています。

マッチメイキングの新アルゴリズム:この数ヶ月間、私たちは現在よりも高精度かつ高速にプレイヤーの腕前を識別するマッチメイキング用新アルゴリズムのシミュレーションとテストを実施してきました。そしてついに従来のアルゴリズムを超える性能を発揮する状態となり、このたびパッチ10.10でノーマル戦キューのアルゴリズムをフルアップグレードすることができました。システムの状態はほとんどの地域で改善しており(評価基準は勝者予想の精度)、この成果であれば私たちも自信を持って次のステップ、すなわち「ランク戦のアカウントシーディング」に進むことができます。

なお、マッチメイキングの新アルゴリズムをランク戦に導入するタイミングはプレシーズン序盤を予定しています。これは現在進行中のシーズンでランク戦のMMRに大きな影響を及ぼさないようにするためです。

ランク戦のアカウントシーディング:これは以前「新たなアカウントシーディング」と呼称していたものと同一で、ランク戦初挑戦時の数試合のデータから実力をより高い精度で評価する仕組みです。これまで振り分け戦の開始位置はプレイヤー分布曲線の中程より少し下で固定されていました。誰もが同じ場所からスタートするのは「平等」ではありますが、当該スキル帯が適正ランクであるプレイヤーにとっては、マッチングする新プレイヤーの実力が高すぎたり低すぎたりする状況が頻発していました。これはMMRが正規分布曲線に近い形になる関係上、最も人口の多いスキル帯でマッチメイキング品質が低くなっていたことが原因です。

今回の新施策では他のキューでのゲームプレイ情報に基づいてシーディングするようになるため、ランク戦開始時の振り分けはより正確なものになります。またこれにより、他のプレイヤーも開始直後から一方的な展開になる試合を経験することも減ります。なお本機能は影響度の監視と迅速な対応を行える状態で進める必要があるため、次回以降のパッチから複数回に分けて徐々に導入していく予定です。

マッチメイキング、次のステップは

チームはこれまでの4ヶ月をマッチメイキングに集中的に取り組んできたため、今後は別の目標を達成するべく取り組んでいく予定です。もちろんマッチメイキングの監視は続行しますし必要な調整も施していきますが、残る課題…たとえばどこでもオプション人数の均等化(両チームに入る「どこでもオプション発動プレイヤー」を同数にすること)やマッチメイキングにおけるブルー/レッドサイドの調整などの調査は主にプレシーズンに実施することになるでしょう。

直近の計画

現在もっとも力を注いでいるのが悪質行為への措置内容をお知らせする方法の改善です。こちらについてはいくつかの改善策が導入済みです。

プレイヤーフィードバック:プレイヤーフィードバックシステムの通知と処罰内容の改善はパッチ10.10から開始となっており、今後もより明瞭にしていく予定です。現在はプレイヤーが悪質行為を報告すると、それに対して下された処罰内容が通知されるようになっています。この通知は当該プレイヤーが別のカテゴリー/それ以降の試合で報告された場合でも発行されます。通知内容の詳細度はまだ試験的な運用期間ですから、皆さんにとってどの程度の情報量が望ましいのか、ぜひご意見をお聞かせください。チームでは、処罰が適切な重みになるようしっかりと通知の設定を調整していきます。

現時点での達成度と次の一手は?

「素早くやり直せる体制と高い適応力」をもって問題に取り組むことは、正しい解決策を特定・実装する上で極めて有効だと私たちは考えます。そこで私たちはプレイヤーの行動変化に合わせて迅速に適応できる体制を整えるべく、2020年から2021年にかけて新機能の一部をライブサーバーに導入して試験していくことにしました。試験する対象は完成したシステムではなく機能の一部であるため、完成度は通常の新機能よりも低くなることが予想されますが、明らかに有効だと判断できた機能にはそこから急速に進化していくでしょう。この試験の目的は各機能を洗練していく過程でプレイヤーの皆さんから素早くフィードバックを得ることです。こうすれば、皆さんが直面している問題の解決につながらない施策に時間や労力を無駄遣いする事態を防ぐことができます。

現在私たちが改善案を模索している領域(現代的水準に達していない領域)には次のようなものがあります。

チャンピオン選択画面での報告とミュート:チャンピオン選択画面で悪質行為が起きた場合、他のプレイヤーにはほとんど打つ手がありません。そこで6月下旬~7月初旬より、チャンピオン選択画面での報告機能を新規導入します。初期の報告データはチャンピオン選択画面における行動の基底データを収集するために使われます。その後、データから状況が把握でき次第処罰システムの構築に移行します。ここは本日扱うトピックの中でも一番注意深く進める必要があるポイントとなるでしょう。

次は何を?

この領域はとても広大ですから、「試合を台無しにする行為」に対する次の一手は2020年の最後まで経過を観察してから決めることになります。本件に関してはMeddlerによる直近のブログ投稿でも補足情報が語られていますが、進捗は近日中にまたお知らせする予定です。

この他では、「共に遊びたいプレイヤー同士が遊べるようにし、一緒にプレイしたい人を見つけられるようにする」という目標についても対策が固まってきています。

フレックス制限の緩和:Clashのリリースや自宅で過ごす時間の増加などに伴い、プリメイド5人でフレックスキューに入るプレイヤーの比率はこの数ヶ月で20%未満から35%以上に上昇しました。この結果、5人組は現在全フレックスキューで現在最も一般的なプリメイド人数になっています。「ランクティアの近いフレンドだけ」という制限を取り払い、誰とでもチームを組めるようにするには絶好のタイミングと言えるでしょう。一方、試合の公平性を保つことももちろん重要であるため、フレックスキューではマッチメイキングの仕組みをClashのもの(通常よりもずっと広範囲のMMRでバランス取りをする仕組み)に近づけることにしました。現在はこの変更をどのパッチで導入するか検討しています。

プレシーズンに向けたアイデアの模索

プレシーズン2021では、これまでお話ししてきた内容以外にも様々な改善を予定しています。

昇格戦シリーズ:目標のひとつ「やり込みの満足度を高め、もっとスキルをアピールできるようにする」の実現に向けた取り組みの一環として、ディビジョン間での昇格戦は廃止になる見込みです。これは良いプレイを続けてきたと自信を持って言える状況であっても問答無用で壁にぶつかるフラストレーションを軽減することを目的としています。一方で、昇格戦の廃止はディビジョン間での降格猶予についても見直す必要があることを意味します。プレイヤーがディビジョン間を移動する際の「壁」は上昇時・下降時に関わらず等しくなければなりませんから。

ランクとマッチメイキングレーティング(MMR)の透明性:表示ランクがかけ離れたプレイヤー同士で試合を遊ぶのは、たとえ全員のMMRが近かったとしてもフラストレーションの原因となります。そこで現在検討しているのが、マッチメイキング設定を変更して対象ランク範囲制限を追加し、さらに腕前レベルの透明性を高めるアップデートを加える施策です。ここで私たちが目指すのは「自分がこれから入る試合には自分と同じようなレベルの人しかいない」と確信できる環境づくりです。要約すれば、ランクがかけ離れたプレイヤーがいる試合が時折でも生じるのは防ぎたい、というところでしょうか。

報酬と過去戦果の表示:「勝利の栄光」スキンシリーズのテーマを変更し、皆さんの現在のランクと過去のランクを同時に示せるようなものにしていく予定です。もちろん、過去の成果を示すために現在のランクを示せないような事態にはなりません。

チームを組んで遊ぶ方法:Clashが正式にリリースされたこと、そして各キューでプリメイドが増加していること(上のフレックスキューの数字は凄まじいですね)は先に触れた通りです。そんな中で「チームを組んで遊ぶ」スタイルが今後どのような発展を遂げていくのか、その総合的ビジョンを示すべき時期が来ています。現時点で長期的課題と認識している内容は次のとおりです。

  • 健全なチーム向けエコシステムの構築を目標としたClashとフレックスキューの運用方法。
  • 一緒に遊びたいプレイヤーをLoL内で発見する方法を確立する。
  • チーム活動をしている(継続的に一緒にプレイしている)プレイヤーを発見し、彼らに長期的に取り組める「何か」を準備・提供する。

まとめ

年明けから今まででも十分に忙しい日々でしたが、チームはこれからも勢いを加速し、皆さんの競技体験を向上するべく張り切っています。今後も新機能の詳細や進捗の報告を続けていきますので、皆さんからもどうか忌憚のない意見をお聞かせください。それでは毎度の決り文句ではありますが…サモナーズリフトでお会いしましょう。



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