Dev
Quick Gameplay Thoughts 7月29日

LoLにおける回復についての考え方

Dev作者Riot Phroxzon
  • クリップボードにコピーされました

パッチ12.14でリリースされた体力回復の変更は、LoLの回復について議論する良い機会だったと思います。回復と重傷の現状について、最近多くのフィードバックが寄せられていますので、今回はこれらのメカニクスについての私たちの考えと、今後のバランス調整方針について、シェアしていきます。

回復とその周辺メカニズムについての考察

簡単に言うと、回復というメカニズムの満足感を高めると、相手の不満が高まるのが一般的です。こちらが与えたダメージを爆発的な回復量で生き延びる相手を見るのは、ストレスが溜まる体験と言って差し支えないでしょう。「継続して、バースト的な回復をする」というケースもあって、表面上は無限に回復できるように見えます(例:体力吸収しながらタンクする「ドレインタンク」)。有利を取ったドレインタンクに対しては、瞬間的なバーストで大ダメージを与えても、長い戦闘で継続ダメージを与え続けてもキルできず、カウンタープレイの余地が少なくなってしまいます。戦わない方がよいという方向へ強い動機付けを行うことにもなり、ゲームプレイの質も損なうことになるでしょう。このため私たちは、「継続して、バースト的な回復をする」というチャンピオンやシステムをデザインする時には非常に慎重になっています。活用されると、カウンタープレイのチャンスが大きくねじ曲げられてしまう可能性が高いからです。例として、赤ケイン(ラースト)はカイトされやすく、同じクラスのチャンピオンと比べると対象に到達する能力が低い上に、回復するにはスキルを当てなければいけません。

LoLにおける回復は、雪だるま式にもなりえます。試合の進行を通して満足できる数値を維持するため、回復スキルの効果は反映率やレベルに大きく依存しがちになっています。次に、回復はライフスティールやオムニヴァンプの形を取ることもあり、これらは取った有利の大きさによって直接スケールします。これらの効果が合わさると、有利を得たチャンピオンはダメージを受ける速度よりも回復速度でまさるため、相手からすると「キルできない」ように感じられてしまいます。

回復には多くの問題がありますが、LoLにとって価値あるもので、満足感のあるメカニズムだと考えていますし、一部のチャンピオンやサブクラスでは、核となる機能を果たしています。良い回復のゲームプレイとはどのようなものなのか、見ていきましょう。

回復のゲームプレイ

私たちの考え方では、回復は主に2つのカテゴリーに分けられます。ひとつめのカテゴリーは、回復能力にリソースの多くを割いていて、回復がゲームプレイの個性と強く結びついているチャンピオンたちで(エイトロックス、ソラカ、ドクター・ムンド、赤ケインなど)、「コアヒーラー」と呼んでいます。ふたつめのカテゴリーは、スキルキットに回復能力は含まれているものの、主な強さの源泉ではないチャンピオンたちで(例:ナミ、アーリ、イレリアなど)、「二次効果ヒーラー」と呼んでいます。

仮に大量に回復するチャンピオンがいるとしたら、度を過ぎた回復とはどの程度になるのでしょうか?パッチ12.13では、ひとつめのカテゴリーに属するこうしたチャンピオンの一部が、勝率面では一見バランスが取れているように見えていても、意図されたカウンタープレイが働かなくなるほど大量の回復をしていました。この例に当てはまったエイトロックスについて、詳細を見ていきましょう。

カイトされているエイトロックスは半分のスキルを外しましたが、その後にゴアドリンカーを起動した上に固有スキルも活用して、すぐに体力は満タンまで戻りました。ほとんどのプレイヤーが、これを見たらおかしいと感じるはずです。エイトロックスは、ゲームプレイの個性が「コアヒーラー」に直結しているチャンピオンの例です。いつもならこれは問題ないのですが、有利を取れていなくても同じことができてしまうなら、それはおかしいでしょう。このことから私たちは、エイトロックスの回復を元々意図されていたカウンタープレイに近づけることになりました(基本的な耐久力を高めるが、回復量は抑えたので、スキルを外し続ければキルされる可能性が高くなる)。

二次効果ヒーラーでは、健全なゲームプレイを作る意図よりも大きな強さが回復に割り振られていると、ゲームプレイに悪影響が出始める可能性があります。この例に当てはまったのが、イレリアです。元々のイレリアは、低~中程度のヒーラー(Qとアイテムによる回復量)として設計されていたので、ダメージ軽減したいならWにそこそこ頼る必要がありました。ですが、Wを上手に使う必要がなく、相手のダメージを通してタンクと回復ができていた頃の彼女は、まさしく回復がゲームプレイの質を損なった例です。これらのケースでは、回復量が多すぎたと考えています。

こうしたケースのバランス調整が難しい原因は、健全なゲームプレイのために「許容できる回復」が、質問者によって異なるためです。最終的には、健全なゲームプレイを作る要素の評価と、公平さについてのコミュニティーの感想を、デザインチームが組み合わせて考え、調整を行います。

重傷

同様に、ゼドを相手にする時に「チェイン ベスト」を買っても、彼のバーストダメージを生き延びられる保証はありませんが、相手が重傷アイテムを買わないはずはありません(特に有利を取られている時は)。重傷は、敵チームに回復重視チャンピオンが1体のみいる場合の購入候補としては設計されていません。そうではなく、重傷アイテムを買うケースのほとんどは、敵の回復重視チャンピオンが成功していて、スキルキットにある本来のカウンタープレイが働かなくなっている場合を想定しています。たとえば、ソラカはハードCCの発動に遅延があって、基本移動速度は325と移動スピードも遅いので、彼女に対して横から襲いかかるのは簡単になっています。

ですが、フルAD構成に対して物理防御アイテムを買うのと同じように、回復重視チャンピオンを抱えるチームに対しては、重傷の価値が上がります。私たちの意図としては、「敵チームに回復重視チャンピオンが2体以上いる場合、重傷がそれなりの効果を発揮する」という状態が最適になるよう、バランス調整をしています。アイテムビルドの意志決定は複雑ですので、この計算論はゲーム内で変わることがあるかもしれません(回復構成がスケールしていった場合、バーストに特化して試合を速く終わらせた方がもっと良いかもしれない)。ですが、スタート地点にするには良いルールになるはずです。

回復を積み重ねる戦術がカウンター不能にならないために存在するのが、重傷です。プレイヤーに他の楽しいアイテムよりも重傷アイテムを優先してほしくはないと思いますが、ヒーラー5人チームがLoLのゲームプレイを台無しにしてしまうのを防ぐためには、必要なメカニズムです。

今後に向けて

パッチ12.14から、外れ値になっているケースへの対処を始めています。今後も回復というメカニズムに関して、デザイナーとプレイヤーの期待と予測が一致するよう、調整を続けていきます。いつもLoLをプレイしていただき、ありがとうございます。それでは、サモナーズリフトでお会いしましょう!



  • クリップボードにコピーされました

関連記事
関連記事