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ウディアVGU: 精霊と歩む者の再構築

神々のたくましいお父さんボディ。

Dev作者SMALL BABY PANDA
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ウディアはサモナーズリフトに降臨してから10年を超える歳月の中で、彼独自の象徴的な立場を確立しました。

何かに憑依された野生の男のようにジャングルを走り回る様子は実に象徴的ですし、従来のアルティメットスキルを持たない点も象徴的です。フラッシュ、熊、張り手?こちらも象徴的です。

しかし、ゼリのようなZ世代のチャンピオンがリフトでデビューし始めたことで、ウディアお父さんは時代に合わせた進化が自分には必要だと気づきます。ウディアのスキルセットと外見はゲーム全体を見ても後れを取っており、VGU対象のチャンピオンを決める投票では、最多の得票数となるほどでした。

この投票からだいぶ時間が経ってしまいましたが、この新しくなったスピリットウォーカーをプレイして、「待った甲斐があった!」と皆さんに思っていただければ幸いです。フレヨルドの力を操り、華麗に型を切り替え、そして言うまでもなく、敵の肩にパンチを決める準備はいいですか?

ウディアの覚醒

VGUに着手する際の主要な目標は、プレイヤーが気に入っている部分を残しつつも、そのチャンピオンの理想的なテーマを実現し、スキルセットやビジュアルを現在の水準にアップデートすることです。しかし、ウディアほど古いチャンピオンの場合、完全なオーバーホールにはかなりの労力がかかります。アルティメットスキンは言うまでもありませんが、スキンの数が大量な場合は特に大変です。

今年の初旬にお知らせしたとおり、ウディアのVGUには複数の中核となる目標がありました。「型を切り替えて戦う近接攻撃チャンピオンというアイデンティティーを維持する」、「ビジュアルを現在のLoLの水準にアップグレードする」、そして「ゲーム内での描写を最近の物語に近づける」の三つです。

ゲームプレイに関して言うと、ウディアの「型を切り替える」という特徴は、LoLチャンピオンの中でも非常に独特です。そのため、ジャングルのモンスターを片(肩)っ端からパンチしていく、不動の近接攻撃ジャガーノートというウディアのスキルセットは変わりません。

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見た目は異なるものの、壊滅に追い込む力は同じです

「ウディアは、他のチャンピオンと非常に異なるため、そのゲームプレイがひと際目立つのです。ウディアにはアルティメットスキルがなく、4つの基本となる型があるだけです。そしてこの型は、一度に一つしか使えません」ゲームデザイナーのStash “Riot Stashu” Chelluckは話します。

「プレイヤーがウディアの何を気に入っているかは明白でした。私が話を聞いた、長年ウディアをメインにしているプレイヤーの多くは、その高い汎用性とシンプルさのユニークな組み合わせこそが、ウディアの魅力であると言っています」とRiot Stashuは説明しています。「しかし、彼のスキルは敵のキルという点において、少しモノトーンに感じたことは否めません。満足感に欠けていたんですね」

この満足感を高め、ウディアをより汎用的にするために、すべての型が実用的で、満足感があり、なおかつ統一性のあるスキルセットを作り上げたいとチームは考えました。一つの型だけが使用されるような状態は望ましくありません。

VGU以前、ウディアプレイヤーはメタに応じて、「Q上げ」か「R上げ」かで試合を計画するのが定石でした(今回のアップデート以前は、QとRが実質にダメージスキルだったためです)。アップデート後のQとRもダメージは与えますが、Rはダメージが抑えられてスロウ効果を付与するようになっており、二つの型がより良い形で共存できるようになっています。

ウディアの新しい固有スキルの一つは、「覚醒」を活用する一歩進んだものになっています。ウディアは各型を「覚醒」させることで、より強力な力を得ることが可能です。

「覚醒時のQは、Qの高いダメージをさらに強化することができ、対象が孤立している場合は、どういったビルドでも高いバーストダメージを与えることが可能です。高い基本ダメージと魔力反映率のおかげで、魔力中心のビルドやQの優先度が低いビルドであっても、Rと比べてQは安定して強力なバーストオプションとなってくれます」とRiot Stashuは話します。

覚醒時のRは、遠隔攻撃という他の型にはないオプションを与えてくれます。攻撃力中心のQ上げビルドの場合でも、覚醒時のRはそこそこの基本ダメージとスロウ効果を与える遠隔攻撃によって、このスキルにしか生み出せない、自分や味方が必要とする状況を確実に作り出すことが可能です。

以上がウディアのゲームプレイにおける満足感、汎用性、パワーの向上を実現するうえでカギとなる変更になります。これらにフレヨルド要素の追加、アップデートされた物語、改良されたビジュアルが合わさることで、ウディアはようやくそのポテンシャルを完全に発揮できていると考えています。

集まる精霊

チームはウディアのスキルセットを完全に作り直すのではなく、フレヨルドの自然というルーツ、武術の訓練、スピリットウォーカーとしてのアイデンティティーを、彼のゲームプレイに深く結びつけるのに時間をかけました。ウディアのスキルセットとビジュアルを出身地により近づけるため、チームはウディアの型を初心にかえって検討しました。

熊、亀、虎、不死鳥の型に変わって、新しいベースのウディアは爪、外皮、猛進、嵐の型を備えています。これらの新しい型は、フレヨルドの半神であるボリベア、鉄革の猪、オーン、アニビアの力にそのルーツがあります。

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「たくさんの機会を利用して、ウディアの世界とのつながりを納得のいく面白いものにし、彼をよりカッコよく仕上げていきました。時間と愛情を十分に注ぐことができたと思います」とRiot Stashuは話します。

型を切り替える際、ウディアは半神とではなく、周囲にいる動物の精霊と心を通わせます。動物の精霊たちはそれぞれユニークな個性を持っており、熊の精霊の喜びや猪の頑固さなどが、ウディアにそれとなく反映されています。

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フレヨルドで雪が積もらない数少ない場所の一つ、アイアンマウンテンを背景にしたフレヨルドの猪

これらの半神の他に、ウディアにまったく新しい次元の力をもたらした5体目の半神がいます。ウディアは新しい固有スキル「精霊の覚醒」によって、一定時間ごとに発動中の型を覚醒させ、その効果を強化することが可能です。たとえば、覚醒時の猛進の型であれば、少しの間、移動速度が増加して、行動妨害効果を無視できるようになります。

この力は、いたずら好きで強大な力を持ち、何にでも首を突っ込んでくる半神、シール・シスターによってウディアに授けられました。シール・シスターは年老いた女性にその身を装い、ウディアに無理難題を課しました。もちろん、ウディアはそのすべてに失敗してしまいます。しかし、ウディアの努力を喜んだシール・シスターは、すべての型を強化する能力を授けてくれたのです。

「ウディアにはスピリットウォーカーとして2種類の力が備わっています。ひとつは周囲の精霊に耳を傾け、彼らの願いや欲求を理解する共感能力。そして、もうひとつは動物の精霊をその身に宿す能力です」とナラティブライターのDana Luery “griddlebones” Shawは語ります。

「ウディアはそれぞれの型を覚醒する際に、変装したシール・シスターから祝福として授かった力を引き出します」

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現存するスピリットウォーカーの中で最強の力を持つウディアは、フレヨルドの均衡を維持することを求めています。ウディアにとってこの概念は、故郷を離れなければ完全には理解できなかったものです。ウディアはリー・シンとの修業時代に、アイオニアの均衡が、協力と調和により維持されているのを目の当たりにしました。これによりウディアは、フレヨルドの均衡を保つためには、絶え間ない闘争の上に築き上げられた、異なる獣性が必要だと気がつきます。

アヴァローサンはフレヨルドの部族を一つにまとめようとしていますが、これはこの地の均衡を消し去ってしまうとウディアは信じています。ウディアは戦鬼ではありませんが、フレヨルドの未来は、このような過酷な環境での生活に内在する、争いと対立によって保たれるというのが彼の考えです。フレヨルドの動物、精霊、人間は、成長を続けこの均衡を維持するために、追い込まれ、困難に挑まなくてはならないのです。アヴァローサンの試みを阻止すべく、ウディアはこの信念に基づいて、ウィンタークロウ族とセジュアニに知恵を提供します。

ゲームプレイと同様、ウディアはナラティブの面においても、発展可能な素晴らしい土台がありました。griddlebonesはウディアの物語を発展させるうえで、Michael “SkiptomyLuo” LuoOdin Austin Shaferの書いたショートストーリーは向かうべき方向性を示す素晴らしい指標となったものの、彼の物語をアップデートするには、それでもかなりの作業が必要であったと語っています。

「ナラティブの大半はすでに存在する枠組みを基にした作業でした」とgriddlebonesは続けます。「若い頃のウディアとウィンタークロウ族との関係について、もう少し分かるようにしました。また、アイオニアにいた頃やリー・シンと一緒に過ごした頃に関しても、もう少し分かるようになっています。ウディアが愛した人々、そして彼が残してきた人々について、もっと知れるようにしたのです」

フレヨルド生まれ

チームはウディアの体型、髪型、服装に関して、彼のアイデンティティーを高めるようなものにしたいと考えました。つまり、「武術をたしなんだシャーマン戦士」、「周囲にいる動物の精霊の感情や声を絶え間なく耳にする野生の一匹狼」、「いかつい、強靭な生存者」というウディアのアイデンティティーを押し出したものにするのです。

ウディアはオラフのようなボディビルダー的な体型でもなければ、グラガスのようなビール腹でもありません。ウディアは屈強でたくましく、毛むくじゃらの野生男子で、フレヨルドの過酷な環境を生き抜ける力を間違いなく持っています。つまり、人並外れた体格を持つ、屈強な男性なのです。

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ウディアの手のバンテージとベルトは、アイオニアでのリー・シンとの訓練時代のもの

「ウディアの性格、身体、気質はフレヨルドの残忍さ、無慈悲さ、苛酷さにより形成されました」とシニアコンセプトアーティストのJustin “Riot Earp” Albersは説明します。「しかし、その質素で実践的な外見の裏には、訓練と鍛錬によって獲得した真の力が隠れています」

ウディアはそれぞれの半神にまつわるお守りを持ち歩いています。このお守りは彼が詠唱に集中し、戦闘(とサモナーズリフト)で最も役立つと思われる精霊を呼び出すのに役立っています。ウディアは熊の爪の腕輪と雄羊をかたどったベルトバックルを身に着け、髪を氷の不死鳥の羽根で飾り、ベルトからは猪の牙を吊るしています。手に巻かれた布のバンテージは、アイオニアでリー・シンと修行を行っていた頃に受け取ったもので、いつかアイオニアに舞い戻り、直接リー・シンに返すと約束した餞別の品です。

チームはウディアのビジュアルにプラスアルファの特色を加えようと試みましたが、物によってはうまくいきませんでした。最初は枝角をビジュアルに取り入れ、型に応じて燃え盛ったり、凍ったり、金属になったりと変化を付けようと試みました。しかし、最終的に明瞭性を優先させるため、このアイデアはお蔵入りとなりました。

「理論上だと、枝角はとても格好良かったのですが、実際にゲーム内で実装してみると、見栄えがそれほど良くなかったんです」とRiot Earpは説明します。「ウディアが動き回って戦闘を行う上で、肩からこのような大きな角が飛び出しているのは、邪魔になってしまったのです。コンセプトでは良かったのですが、ゲーム内ではウディアの動きが見にくくなり、何をしているかが見づらくなってしまったんですね」

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ウディアの枝角を取り入れた初期コンセプト

また、チームはウディアのパワーと性格を伝えるために、ウディアのタトゥー、「レジェンド・オブ・ルーンテラ」のカードイラスト、格闘ゲームのビジュアルエフェクトからインスピレーションを得て、ビジュアルエフェクトのリワークを行いました。

ビジュアルエフェクトアーティストのLuis “Riot Bloois” Aguasは、型の作業を始める前に、まずはウディアのビジュアルスタイルのしっかりとした土台を作り上げる必要がありました。「ウディアは操作性について言えば、単純明快です。そのためビジュアルに関しても、ウディアを使っているプレイヤー、あるいはウディアと対峙しているプレイヤーが、状況を容易に理解できるように、重要な部分のみを視覚的に伝える必要がありました」とRiot Blooisは話します。

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次に各型のビジュアルエフェクトの構築ですが、ウディアに関しては一つのまとまった形を維持しつつ、4体のチャンピオンを1体にまとめ上げるようなものでした。

Riot Blooisは続けて説明します。「ウディアのスキルを見分ける上で、色分けは最も一般的なやり方ですが、それぞれの型を区別するようなシェイプランゲージ(形状による印象付け)を用いる必要がありました。自信に満ちた大胆な色と力強いシェイプランゲージに注力して、ウディアのナラティブデザインと

ボイスオーバーにつなげていきました」

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ウディアのVGUには世界中の数多くのライアターが携わっており、ウディアのベースモデルだけでなく、多くのスキンのビジュアル、ゲームプレイ、ナラティブ、サウンドデザインなどのリワークとリデザインが行われました。「精霊の守護者」はアルティメットスキンの中でも特に究極のスキンとなり、「黒帯ウディア」はその熟練度に相応しいリワークが施されています。もちろん、「これじゃないウディア」は以前と変わらず風変わりなままです。

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私たちの究極の願いは、長い間ウディアをメインとしているプレイヤーだけでなく、一度もウディアに触ったことのないプレイヤーにも、このプロジェクトに注がれた愛情とフィードバックの数々を認めてもらうことです。

griddlebonesは最後にこう締めくくります。「物語で読んだウディアがそのままの姿でゲーム内に再現されていると、プレイヤーの皆さんに感じてもらえれば幸いです」



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