/dev:チャンピオンリニューアルのパイプライン

Reav3による

なぜチャンピオンのリニューアルにはそんなに時間がかかるんですか?

これはプレイヤーの皆さんから常に尋ねられる質問です。皆、チャンピオンのアップデートを望むと同時に、私たちが行っている作業のプロセスを詳しく知りたいと思っているのかもしれません。今日はこのプロセスについて、チャンピオンアップデートを担当するチームでリードプロデューサーを務めている私、Ryan "Reav3" Mirelesがお話しします。


リニューアルの過去と現在

数年前は作業プロセスが上手く構築されていなかったので、リニューアルには非常に長い時間がかかりました。現在では、チャンピオンアップデートのプロセスはとても効率化、組織化されています。クラスアップデートやビジュアル&ゲームプレイアップデート(VGU)のリリースが以前よりも頻繁に行われるようになった理由の一つがこれです。例えば、ヨリックに関しては多くのデザイナーが数年に渡って試行錯誤を繰り返していましたが、最終的にリリースされたヨリックには、それほど時間がかかっていません。SolCrushedは、ポッピーの作業を終えてから、このバージョンの作業に取りかかりましたが、新しいプロセスを使用したことで、ヨリックは11ヶ月で完成しました——一般的なVGUや新チャンピオンとほぼ同じです。ヨリックは追加のキャラクター(霧の乙女とミストウォーカー)を作って動かす必要があったので、通常の9ヶ月よりも少し長くかかりました。

現在、チャンピオンのアップデートにはVGUとクラスアップデートの2つのパイプラインが存在します。この2つは少しだけ性質が異なります。


ビジュアル&ゲームプレイアップデート

現在、ビジュアル&ゲームプレイアップデート(VGU)には新チャンピオンの開発期間とほぼ同じ、約9ヶ月が必要です。チャンピオンに複数の形態やペットが用意されていたり、過去になかった技術が用いられる場合には期間がこれよりも長くなりますが、平均すると9ヶ月です。VGUの作業は以下の3段階にわかれています。


アイデアを自由に出し合う段階(約3ヶ月)

この段階では、デザイナー、コンセプトアーティスト、ストーリーライター、プロデューサーからなる少人数のチームが、リニューアルのための新たなスキル構成、物語、アートの方向性を定めていきます。ここでの目標は、最終的なコンセプトアート、ストーリーの方向性、スキル構成を確定させて、プリプロダクションに向けた準備を整えることです。これはもっともデリケートな段階であり、私たちが確信を持てなければ、プロジェクトがキャンセルされる可能性もあります。ただし、私たちはこの段階のプロジェクトを常に2つか3つ抱えているので、仮に1つのプロジェクトが凍結されたとしても、残りの少なくとも1つは高確率でプロダクションチームに(彼らの現在の作業が終わり次第)渡されることになります。この段階が終わると、通常はプロジェクトを発表する準備が整ったことになり、チャンピオンアップデートのスケジュールに追加されます。


プリプロダクション(約2ヶ月)

この段階で、キャラクターアーティスト、テクニカルアーティスト、プログラマー、アニメーターがプロジェクトに配属されます。ゲーム内モデルとスキルの実装が始まり、ゲーム内におけるチャンピオンの動きや見た目を決定するための「アニメーション・エクスプロレーション(アニメーションの探究)」も始まります。この段階でストーリーライターは声優のオーディションを開始し、スキルのビジュアルエフェクトのコンセプトアート制作も開始されます。通常、2Dのコンセプトアートを3Dに移行する際に多くの問題が浮上してくるので、これらの問題をすべて解消して、チャンピオン作成に取りかかる準備を整えることが次のステップとなります。さらに、本格的なプロダクションが始まる前に提携する外部開発パートナーへ すべてのスキンモデルを提供できるよう、チャンピオンのスキンラインナップのコンセプトアート作成もこの段階で始まります。外部開発パートナーが私たちのコンセプトアートにもとづいてモデルを80%~90%まで完成させ、最終的な仕上げは社内で行います。


プロダクション(約4ヶ月)

この段階では、多くの人々がプロジェクトに携わることになります(約15~20人)。複数のビジュアルエフェクトアーティスト、スプラッシュアーティスト、サウンドデザイナーたちがチームに加わります。この段階で、チャンピオンは実際のチャンピオンの形を取り始め、モデル、アニメーション、サウンド、ビジュアルエフェクトが最終決定されます。そして、新たにチャンピオンの音声を録音して実装を開始します。また、外部委託先からスキンモデルを受け取り、社内で最終的な仕上げを行います。スプラッシュアーティストは、基本のスプラッシュアートとスキンのスプラッシュアートを完成させます。頻繁にプレイテストを行い、「このチャンピオンならいける」と確信が持てるようになるまで、あらゆる部分で何度も試行錯誤を繰り返します。そして、プロモーションチームの作業が本格化し、特集ウェブサイトや宣伝キャンペーンを立ち上げます。また、各地域のローカライズチームがあらゆるものをそれぞれの言語にローカライズします。


クラスアップデート

通常、クラスアップデートには約6ヶ月が必要となります。プロのプレイを妨げないように特定のパッチを目標にして作業を行うので、プロダクションスケジュールにあまり余裕はありません。クラスアップデートでは、あるチャンピオンの作業が上手く行かなかった場合、期間を延長するのではなく、カットしてしまいます。クラスアップデートのプロダクションプロセスも、以下の3つの段階にわけられます。


手探りの段階(約1ヶ月)

通常この段階では、どのクラスに注目すべきか、そのクラスの強みと弱点は何であるべきか、どのチャンピオンが最優先の対象なのかなどについて、何度も話し合いを行います。一般的に、注目に値するチャンピオンは以下の3つの条件にもとづいて決定されます。

  • チャンピオンの個性。平凡なチャンピオンになってしまっていたなら、アップデートの候補になります。

  • 「クラスアップデート」の趣旨に合っているか。あまりに多くの変更が必要になるとしたら、そのチャンピオンには完全なVGUを行うべきです。

  • そのチャンピオンのテーマ性の強さ。クラスアップデート以前にすでに力強いテーマが確立しているなら、大規模なVGUで行うようなテーマやバックストーリーの作り直しは必要なくなるので、作業が楽になります。

通常この期間中、クラスデザインチームは以前のクラスアップデートで行った変更に対して微調整を行い、次のリニューアル候補となるものがないかを探ります。この段階の最終的な目標は、クラスを選択し、大規模なリニューアルを行うチャンピオンを決定して、そのクラスにおける大きな目標を設定することです。


デザイン(約2ヶ月)

クラスとチャンピオンを選択したら、デザインの変更を繰り返して試行錯誤を行います。通常は、最終的に満足のいくものが仕上がるまでに、各チャンピオンごとに複数のバージョンが作られます。例えばレンガーのデザインを行っている間のある時点で、「骨牙の首飾り」は敵のワードを食べてしまうワードを設置するトリンケットでした!このようなアイデアは日の目を見ないまま消えていくこともありますが、別のチャンピオンのために取っておく場合もあります。ワードを食べるアイデアは、レンガーには使われなくてもいつかサポート系のチャンピオンに使われるかもしれません。そして、スキルの内容が確定したらアーティストの出番となります。


プロダクション(約3ヶ月)

クラスアップデートは「新たなモデル」を必要としないチャンピオンに対して行われるものなので、プリプロダクションは飛ばして、すぐに本格的なプロダクションに移行します。この段階で、アニメーター、ビジュアルエフェクトアーティスト、サウンドデザイナーがチームに加わります。大規模なリニューアルでは、変更を行うスキルすべてに新たなアートを適用します(ときには変更を行わないスキルに対しても)。デザイナーたちは感覚的な細かい調整を繰り返す一方で、「小規模なクラスリニューアル」向けのデザイン作業も開始します。この時点でプロモーション担当者も加わり、皆が協力しながら、このアップデートをプレイヤーにどう伝えていくべきかについて話し合います。全てが終わった後、ミッドシーズンやプレシーズンにおけるさまざまな変更とともに、クラスアップデートがライブサーバーでリリースされます。


最後に

以上がチャンピオンのリニューアルとクラスアップデートを行うプロセスの概要です。今回の記事で、チャンピオンのリニューアルに長い時間がかかる理由を理解してもらえると良いなと思います。皆さんからのご意見やご感想をお待ちしています。

Reav3
リードプロデューサー、チャンピオンアップデート
Ryan Mireles


3 years ago

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