今週はゲームプレイの視認性特集です。
また質問 はいつでもこちらで受け付けています。皆さんからの意見が届くたびに「埋もれし太陽の円盤」が一周回転するのでドシドシお送りください。
一切の建前を廃して本音でお答えすると、LoLを開発し続けていく資金はゲーム内のビジュアル要素を販売した売上で賄われています。中でもスキンはかなりの割合を占める重要要素ですが、多くのプレイヤーにとって自分のスキンが他のプレイヤーにも表示されることはスキン購入の大きな要因になっています。ここに購入したお気に入りスキンが他のプレイヤーには表示されない「かもしれない」という不確実性が入ってくると、ビジネスを継続していく上で多大な影響が生じる可能性があります。
こんな風に書くと冷徹に聞こえるかもしれませんが、これは開発チームがLoLを末永く運営していきたいという気持ちから出た言葉であることをご理解いただければと思います。(開発チームを含む)皆に愛されるLoLというゲームを、プレイヤーの皆さんが遊び続け、私たちが開発し続けていけるように、と。私たちとは「基本プレイ無料で、販売するビジュアル要素はゲーム内の強さに影響しない」というビジネスモデルは総合的に見てプレイヤーに優しいものだと考えており、今後もゲームプレイの視認性を全体的にレベルアップさせていくことで、LoLをこの先何年(あるいは何十年?)も運営していければと思っています。
Meddler ゲームディレクター
クロマの視認性はスキンと同じガイドラインに基づいて判断しています。ガイドラインについてはこちらで詳しく解説していますが、これは要約すると「プレイヤー/観戦者がスキンを使用していても容易に素早くチャンピオンを特定できる」という内容です。クロマもスキンであることに変わりないため判断基準は同じで、スキンと同様のフィードバック体制と投票プロセスを経てリリースされます。
クリエイティブ面から見た場合、クロマ制作時の指針と主要目標は「親スキンと同じテーマとユニバースに属すること」になります。同じテーマを維持しつつ、テクスチャ―だけを変更したものがクロマです。基本的に用いられる形状言語(Shape Language:図形を用いた表現)やデザインは同じで、「チャンピオンが月曜に着ていたのが月曜日バージョン、クロマは火曜日バージョン」のように感じられるようにしています。
しかしスキンが増え続け、それに伴いクロマの総数も増えてきた現在、クロマの視認性確保は以前よりも難しい課題になってきました。カラーパターンは限られており、各スキンやクロマのデザイン時には同じ配色パターンを繰り返し使っています(補色、隣接色、トリアディック、三次色の組み合わせ)。クロマのカラーパターンが対象チャンピオンの基本スキンや(時には複数の)別スキンとかぶってしまうこともありますが、これも素材や形状言語、テーマ、各色の比率を調整することで独自性を打ち出せます。そこから先は私たちの想像力だけが唯一の制約です。
MechaHawk スキンアートディレクター
良い質問ですね!この回答はいくつかの要因に分解できます。
一番大きな要因はプロダクトの区分です。スペースグルーヴ ブリッツ&クランクは新規アニメーションが追加されることが多いレジェンダリースキンで、ランサー ブリッツクランクはアニメーションが基本的に変更されないエピックスキンです。ただこれは非常に大きな要因ですが、ランサースキンでは浮遊歩行アニメーションに視認性の問題があるからと採用を見送ったのに、スペースグルーヴスキンで掌を返したように浮遊歩行アニメーションを追加したことの説明にはなりませんね。では何が変わったのでしょう?
そして2021年現在、チャンピオンの視認性における最重要要素はシルエット…つまりチャンピオンの影の形となっています。スペースグルーヴ ブリッツ&クランクの開発中もシルエットが容易に素早く認識できるように細心の注意を払い、巨大な両手、頭、肩パッドを基本スキンと似せることで「これ誰だ?」テストにかけてもどのチャンピオンか言い当てられるようにしました。開発チームはその上でVFXとSFXを加えてみて、これならば浮遊歩行アニメーションを追加しても視認性は著しく損なわれないと判断したのです。富裕歩行のアニメーションは基本スキンと同じロボっぽさを残した上で、スタイルやダンス感を出せたのではないかと考えています。
さて話を戻すと、ランサー ブリッツクランクの開発時点ではまだ確固たる視認性の基準が整っていなかったため、そのあたりのさじ加減は勘に頼るしかありませんでした。しかし仮に現在の基準でランサースキンを作り直したとしても、おそらく同じ判断をしたのではないかと思います(議論の的にはなるかもしれませんが)。理由はランサー ブリッツクランクのシルエットがスペースグルーヴよりも視認性で劣っていたためです。拳が尖ったドリルになっているところは特に影響が大きく、レーンで動いている時、走っている時、そしてロケットグラブを放っている時に視覚的な違いを生んでしまっていました。また、これ以外にも肩甲がとても大きいという懸念もありました。要するにランサー ブリッツクランクはゲームプレイと視認性の両面で限界まですでに目一杯「攻めた」状態だったので、さらに別の要因を追加することができなかったのです。
MechaHawk スキンアートディレクター
ご指摘の点は、スキンやチャンピオンのサウンド制作時に時折生じる類の問題です。確かにスキルのサウンド音量は重要度に応じて他よりも大きく設定する必要があります。しかし「ゲームプレイの邪魔になるほどうるさい」音のボリュームを小さくするかどうかの判断は、究極的にはプレイヤー…つまり皆さんの声が決め手になります。このような効果音が確認された場合、私たちは高い優先度を割り当てて懸念点について議論し、ゲームプレイの分かりやすさを確保した上で必要な修正を行います。
この長い文を言い換えると…お知らせいただきありがとうございます!しっかり調査していきます、ということです!
OCRAM818 サウンドデザインリード
豪嵐龍リー・シンですね…。このスキンについては先日のlol pls動画でも触れており、これ以上できることはほとんどありませんが、ここでもう一度経緯を振り返ってみたいと思います。
豪嵐龍リー・シンを初めてPBE(パブリックベータ環境)にリリースした際に寄せられたフィードバックは「リー・シンだと分かりにくい」、「とても派手だ」というものでした。チームはこれを受け、ライブサーバーでのリリース前にポニーテールを切るなどの変更を加えています。本件でチームはスキンの格好良さを追求しつつも、やりすぎない範囲に収めるという課題と対峙することになりました。
こんな発言すると議論を巻き起こすことになるかもしれませんが、私たちはこの同スキンの視認性を「今のところこれで良い」と考えています。というのも、視認性の低さは豪嵐龍に限らずリー・シンスキンすべてが内包している問題で、根本的な原因は彼のシルエットに際立った特徴がないことにあると考えているからです。また、リー・シンの視認性はほとんどがアニメーションで表現されているため、レジェンダリースキン製作時には特にここが難しくなります。本件についてはどこかのタイミングでスキン全体を見直す機会を設け、他チャンピオンとは異なる視認性の高いシルエットに変更するつもりですが、現時点では具体的な日程などは固まっていません。
Bellissimoh プロダクションディレクター
LoLでは大量のボイスを使用しているため、古くなったボイスシステムはゲームの進化に合わせてどんどん「現代化」していく必要があります。これにはタワーダイブに失敗してデッドしたタリヤが「投げる石はいくらでもあるわ!」と言わないようにするとか、プレイヤーを「サモナー」と呼ばないないようにするなども含まれますが、ボイスが愉快で物語が伝わり、ゲームプレイをしっかりと支える明確なオーディオミックスになっていないならばすべてが修正の対象になります。
ボイスの分かりやすさを改善する手段は複数ありますが、現在チームではその中でも次に紹介する「新しいサウンドエフェクト」に注力しており、今後数か月中に取り組みの成果をお披露目できる予定です。
今後も新旧問わずすべてのチャンピオンで上記変更を続けていけるよう取り組んでいくので、気に入った点・気に入らない点はぜひ今後もお知らせください。すべてを即時修正というわけにはいきませんが(チャンピオンの数が多すぎます!)、皆さんのご意見はチームにとって重要な知見ですから。
Riot Zimberfly ボイスオーバーオーディオリード