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Ask Riot:マナ無しチャンピオン

チャンピオンをマナ無しにする基準、マイクロパッチを当てる基準、そしてLoLニュースを一元的に見られる場所について。

Dev作者Riot Aether, Riot Jag, Riot Axes
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Ask Riotへようこそ!

今回はTwitter、マナ無しチャンピオン、マイクロパッチの質問に回答していきます。

ぜひ皆さんの質問をこちらに送ってください。1件届くたびに、チャンピオン選択時に超詳細なパワーポイントを見せてくる味方が1人減ります。

チャンピオンをマナ無しにする判断の基準は?

マナはチャンピオンデザインで重要となる数値に直接的な影響を及ぼす要因です。

マナの存在は試合(特にレーン戦)のペースを作り出します。アクションとは緩急があってこそ輝くもの。よい「緩」がなければ、多くの場合「急」の魅力も失われます。そしてマナというリミッターがなければ、よくできたスペルであっても連発するのが正解になってしまいます。

これは特に安全を重視するプレイスタイルで顕著になります。敵のハラスを避け続けて有利を作れたり、スキルセットに過剰なまでの回復性能が備わっていたりすると、リコールする理由はほぼマナ枯渇のみになります。マナ無しの遠隔攻撃チャンピオンが非常に少ないのも、マナ無しチャンピオンのスキルセットで回復能力がかなり絞られている(例:ヴィエゴのサステインに対するナーフ)のもこれが理由です。

また多くのスペルは使用時に何らかのリスクがあるべきだと私たちは考えます。たとえばロケットグラブはブリッツクランクの魅力を支える要素ですが、このスペルは毎回しっかりと狙っていく必要があり、外した場合の代償があります。代償はスペルのバランス面でも、当てた時の興奮を高めるためにも欠かせません。もちろんクールダウンでバランス調整することもできますが、これにも限度があります。ブリッツクランクがマナ無しチャンピオンだった場合、ロケットグラブのクールダウンはどの程度が妥当か?という話ですね。マナにはルールを追加せずにスペルにリスクを付与できる利点があるわけです。

新チャンピオンも原則的にマナ有りと想定して制作を開始します。マナ無しにする場合は「マナを持たせないほうが良い」ことを示す正当な理由が必要です。マナの価値が他のチャンピオンより低い場合(強力な引き寄せ/ポーク手段を持たない近接チャンピオン、つまりレーン戦で遠隔攻撃のハラスを受けるしかないチャンピオン)でも、基本的にはマナはあったほうが良いと判断します。では次に、マナ無しにする「正当な理由」について見てみましょう。

闘魂、ヒート、気など、二次リソースゲージはUI上でマナゲージと競合するものです。どちらも重要であれば併用することもできますが、両者の管理する領域はかなりの部分が重複しているため、両方必要と判断しない限り両方を採用することはありません。たとえばランブルのヒートなら、スペルを連発すればオーバーヒートするため調節が必要となり、結果的にこれがレーン戦のペースを形作ります。

一方でチャンピオンの中にはマナ無しにする理由を持つ者もいます。たとえばヴィエゴの場合、マナゲージがあると変身時のゲームプレイが極めて分かりにくくなります。憑依中にマナを消費するのか?しない場合は自身のマナゲージに何が表示されるのか?といった点はプレイしながら覚えることもできますが、ヴィエゴはそもそも複雑なチャンピオンなので、習熟する上でのストレス要因が増えてしまうのです。

これ以外だと、「連続させる」ことが重要なチャンピオンも存在します。たとえばヤスオは「連続させる」ところが面白さの柱になっています。こういった場合には適切なトレードオフ(何かを失うことで何かを得る)要素を設計するよう注視しながらスキルセット全体のバランスを取るようにしています。調整後はスペル単体ではパッとしないように感じられることも多々ありますが、トレードオフを総合的に評価すればプラスだったりするわけです。

Riot Axes リードチャンピオンデザイナー

チャンピオンにマイクロパッチを当てるか、次の通常パッチまで待つかを判断する基準は?

マイクロパッチは原則的に、意図した以上にバランスを大きく変えてしまったチャンピオンに向けて制作します。たとえばバランスフレームワークのしきい値よりも勝率が1~2%だけ高かったチャンピオンをナーフし、結果として勝率が5~6%低下した場合、チームは早急な修正を検討します。前回このような状況が生じたのは2020年の終わり頃にケインの勝率が約6%低下した時で、この時はナーフを部分的に巻き戻しました。バランスの変化がわずかである場合は、基本的に次のパッチまで手を入れず、より多くのデータが揃った時点で再評価を行います。

新チャンピオンやVGUチャンピオンの場合、バランス調整(およびマイクロパッチ)の方針が少し異なります。これはプレイヤーの皆さんが対象チャンピオンに慣れている途中であり、さらに比較対象となるデータが存在しないためです。こういった場合は事前に設定した勝率範囲に照らして評価し、マイクロパッチの必要性について検討します。この勝率範囲は対象チャンピオンの想定習熟曲線に基づいて算出しています。たとえば、難易度の高いチャンピオン(アフェリオスなど)の勝率は低めでスタートして徐々に上がっていくものと想定し、難易度の低いチャンピオン(ニーコなど)なら高めの勝率で始まりその後はあまり上がらないものと想定する、といった具合です。

この勝率範囲は初日(リリース日)、翌日、7日目の区切りで予測し、対象チャンピオンの勝率がこの範囲から外れた場合には即座にマイクロパッチで対応していきます。直近ではサミーラがリリース日に50%以上の勝率(新チャンピオンの勝率50%以上はかなり高い数値)を記録し、これは強すぎると判断してマイクロパッチでナーフしました。
せっかくの機会なので、バグについても少しだけ。バグにマイクロパッチを当てるか次のパッチまで待つかを判断する際には、1) バグの発生頻度(たとえば試合時間100分で発生するのであれば、あまり大問題にはなりません)と2) バグの深刻度(たとえばクラッシュして試合から退出してしまうようなバグであればマイクロパッチを当てる、など)を考慮しています。

Jag サモナーズリフトチーム リードゲームデザイナー

Subreddit(Redditのトピック)、Twitterアカウント、ニュース記事など、Riotの情報発信は多数あるためすべてを把握するのが非常に難しいと思います。ボード時代のRed TrackerのようにRiot発信情報の非公式まとめを復活させるのはどうでしょうか?

(はるか昔のことなので補足を。Red Trackerとはかつてボード(公式フォーラム)に存在した、ライアターの書き込みだけを抽出したフィードのことです)

まず、この質問が「仕込み」ではないことをここに宣言いたします。しかしなんということでしょう!私たちはつい先日、開発チームの投稿をシェアする@loldev Twitterアカウント(英語)を開設したばかりなんです。このアカウントはボードの「Red Tracker」と同様の役割を果たすもので、Twitter上で開発者の発言を一気にチェックできるほか、Quick Gameplay Thoughtsやパッチノートなどのリンクも投稿されます。なお、こちらは情報密度に配慮した運営を心がけているため、オフトピックな話題は投稿しません。ご飯、スニーカー、ワンちゃんなどの写真が好きな方にはあらかじめ謝罪しておきます。すみません!

大局的な視点から振り返ってみると、開発者の発信情報が無数のプラットフォームに散らばっている原因は…Riotが彼らに無数のプラットフォームで発信させているからに他なりません。これは理想的な姿とは言えませんが、早急に解決すべき問題でもないと考えています。開発者とのコミュニケーションはLoLの体験を高めるためのもので、ゲームをプレイするための必須情報であってはならない、というのが私たちのスタンスです。たとえば、リリース直前に追加したゲームプレイの変更はパッチノートに記載されます。一方でPBEの情報は、すべてがライブサーバーに導入されるわけではないので、プレイするための必須情報ではありません。このため、PBEに関する議論がSNS上でのみ行われていても問題ないと判断しています。

また、こうした質問が寄せられるのは、ある意味では嬉しいものだとも感じています。開発者の発信する情報に興味がなければ…面白いと思ってもらえなければ出てこない質問ですから。皆さんが開発者の声を直に聞きたいと望んでくれる限り、私たちはこれからも情報を発信し続けます。

RiotAether リーグ・オブ・レジェンド コミュニケーションリード

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